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『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』感想 | 運命の反対は自由

www.youtube.com 目に輝きのない少女マンガのような演出が始まったときにはどうなることかと思ったけれども、SEEDにきちんとけじめをつける完結編。 なぜ敵さんが心を読めるのかさっぱりわからないし、ジャスティスがズゴックの中に潜む必要性もわからなけれ…

『イーロン・マスク』感想 | SFを現実に

イーロン・マスク 上 (文春e-book)作者:ウォルター・アイザックソン文藝春秋Amazon 決済サービスを皮切りに、宇宙開発企業と自動車製造業に手を出し成功し、今ではメディアも手中におさめる人間と聞いたら、どこかのSFか何かに出てくる現実離れした権力者の…

NETFLIX『PLUTO』感想 | 原作よりもわかりやすい

www.youtube.com 原作の『PLUTO』はビッグコミックオリジナルの連載で読んでいた。 最初のほうは丁寧に描かれていたのだけれど、後半になるにつれアクションシーンが多くなったこともあってか行間が広くなっていって、追いつけなくなっていった記憶…。 ビッ…

『ザ・クリエイター / 創造者』感想 | 80年代のパワフルなSFをもう一度

www.youtube.com ザ・クリエイター/創造者John David WashingtonAmazon この作品については完全にノーマークだったのですが、『グランツーリスモ』で流れた予告編のセリフ回しに皮肉が効いていて、おもしろそうだと思ったので。 タイトルからしてダサくB級…

『プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン』 感想 | プロジェクトマネジメントに関する稀有な本

プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン 実績・省察・評価・総括作者:株式会社カラーグラウンドワークスAmazon 『シン・エヴァンゲリオン』を実際にプロジェクトを進めた人間がプロジェクトマネジメントの観点で総括した稀有な本。 本文にも書かれているけれ…

映画『グランツーリスモ』感想 | ゲームと現実の境界が溶けていく

言わずと知れたレーシングゲーム『グランツーリスモ』の映画化。 とは言ってもゲームの内容を映画化しているわけではなく、プレステと日産が行ったGTアカデミーの実話を元にした物語。『グランツーリスモ』のプレイヤーからドライバーを選抜して、現実のレー…

『半導体戦争』感想 | いかにして半導体が世界を動かすようになったのか

携帯電話から戦場に撃ち込まれるミサイルまで。 それなしでは成り立たず、コロナによるサプライチェーンの混乱によって一気に主役に躍り出た半導体の黎明期から現在までの歴史を描く。

『汝、星のごとく』感想 | 他人に左右されない自由を

2023年本屋大賞受賞作。 凪良ゆうという人は、ちょっと普通ではない人たちが感じる息の詰まるような閉塞感を描くのがうまいのだなあと再確認。

『「いい会社」はどこにある?』感想 | となりの芝生は青くて赤い

会社と職業を選択するときの軸を12の条件に整理して解説。普段からニュースサイトを運営して、様々な会社の社員にインタビューしている著者が書いているので、四季報や業界地図にはない具体的で生々しい話が載っている。ここまで生々しいと、転職口コミサイ…

映画『罪の声』レビュー | こんなにまとまりのいい話だったっけ?

昭和の未解決事件「グリコ・森永事件」を下敷きにしたフィクション。下敷きとは言っても、なぜわざわざ「ギン萬事件」という架空の事件に仮託したのかというレベルで「グリコ・森永事件」をトレースしていて、昭和の劇場型犯罪に対する推理といった様相。

『老神介護』レビュー | 科学と資本主義の行き着く先は

『三体』の劉慈欣の短編集。 名前からして皮肉が効いてて良いですね。 表題作の『老人介護』もいいけれど、いちばんおもしろかったのはその後日譚になる『扶養人類』。

『アポロ18号の殺人』レビュー

宇宙に詳しい人ならご存知のとおり、アポロ18号は現実には存在していない。 正確に言うならば、アポロ計画では20号まで予定されていたけれど、NASAの予算削減などのあおりを受けて、18号以降は実行されることがなかった。 だからこの小説は架空の「アポロ18…

『今夜、世界からこの恋が消えても』の感想とロケ地

無理がありまくりなストーリーですが、泣けてしまう映画です。

『5000日後の世界』レビュー

ビジョナリーと称されるケヴィン・ケリーのインタビューと寄稿集。 次の「5000日後」に対して彼が抱くビジョンと、彼が未来を言い当ててきた方法について。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上作者:アンディ ウィアー早川書房Amazon 『火星の人』のアンディ・ウィアーの最新作。 今度の主人公の所在地は火星よりもはるかに遠いくじら座の恒星系。 地球では太陽の光量が指数関数的に減少するという現象が観測され、…

FIRE 最強の早期リタイア術 | 貯金と複利の勉強

FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド作者:クリスティー・シェン,ブライス・リャンダイヤモンド社Amazon 最近聞くようになったFIREの指南書。 ベースにあるのは資産の4パーセントの資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年…

実力も運のうち | 実力なんてものは存在しない

実力も運のうち 能力主義は正義か?作者:マイケル サンデル早川書房Amazon 『ハーバード白熱教室』『これからの「正義」の話をしよう』のマイケル・サンデルが能力主義と格差について語る。 貴族を打ち倒して成立した民主主義。 階級社会がなくなったことで…

人類とイノベーション | 自由主義のイノベーション論

人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する (NewsPicksパブリッシング)作者:マット・リドレーニューズピックスAmazon 『繁栄』のマット・リドレーがイノベーションについて語る。 イノベーションを生むにはどうしたらいいか? 長年繰り返さ…

三体 死神永生 | 劉慈欣の想像力についていけるか

三体Ⅲ 死神永生 上作者:劉 慈欣早川書房Amazon 『三体』三部作の最終巻。 太陽系と三体世界のつばぜり合いを描いた二作目の『黒暗森林』よりもさらにスケールアップして、物語は全宇宙へと広がる。 規模は広がったけれど、それが『黒暗森林』よりもおもしろ…

遺伝子 | 多様性と選択の問題

遺伝子‐親密なる人類史‐ 上 (ハヤカワ文庫NF)作者:シッダールタ ムカジー発売日: 2021/03/03メディア: Kindle版 デビュー作『がん‐4000年の歴史‐』でピューリッツァー賞を受賞したシッダールタ・ムカジーが遺伝子について語る。 がん‐4000年の歴史‐ 上 (ハヤ…

2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ | 今後10年を生き抜くには

2040年の未来予測作者:成毛 眞発売日: 2021/01/01メディア: Kindle版 2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する作者:英『エコノミスト』編集部発売日: 2017/04/14メディア: 単行本(ソフトカバー) 2060 未来創造の白地図 ~人類史上最高にエキサイティン…

アインシュタインの戦争 | 相対性理論をめぐるドラマ

アインシュタインの戦争―相対論はいかにして国家主義に打ち克ったか―作者:マシュー・スタンレー発売日: 2020/07/24メディア: Kindle版 アインシュタインの最大の功績とされる一般相対性理論が発表されたのは1915年。 この時、世界は1914年から4年間続く第一…

タイタン | 消費と創造の関係性

あらすじ 「タイタン」と呼ばれるAIにより仕事から解放された人類は自由を謳歌していた。 しかし世界に散らばる12個のタイタンのうちの1つ、北海道にある「コイオス」が機能不全に陥ったことで、心理学を趣味としていた内匠成果のもとに、「カウンセリング…

52ヘルツのクジラたち | きっと誰かに届く叫び

52ヘルツのクジラたち作者:町田そのこ発売日: 2020/04/21メディア: Kindle版 本屋大賞ノミネートということで、積読の山から引っ張り出す。 52ヘルツのクジラは、実際に存在している(と思われる)正体不明のクジラの個体。1980年代から鳴き声だけは観測され…

ディズニーCEOが実践する10の原則 | ディズニーの買収の歴史

ディズニーCEOが実践する10の原則作者:ロバート アイガー発売日: 2020/04/04メディア: Kindle版 『10の原則』と書かれると、お手軽な実用本のような気がするけど、中身は2005年からCEOを務めたロバート・アイガーの自伝的で骨太な内容。 原題も『The Ri…

アーモンド | 猿まねの感情

アーモンド作者:ソン・ウォンピョン発売日: 2019/07/12メディア: Kindle版 2020年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位。 扁桃体が人より小さい十六歳の高校生、ユンジェの物語。 扁桃体は感情を司る器官で、アーモンドの形に似ているとか。それが小さいということは…

これがすべてを変える

これがすべてを変える――資本主義VS.気候変動(上)作者:ナオミ・クライン発売日: 2017/08/31メディア: 単行本 気候変動の裏で働く資本主義の論理を痛烈に批判した本。 本屋に平積みされているのを手に取ったのが2018年。何か大事なことを言ってそうと思いなが…

ユートロニカのこちら側 | 私たちは無意識に意識を捨てる

あらすじ 位置情報はもちろん視覚や聴覚など収集できる限りの個人情報を提供することで、人並み以上の生活が保障されるアガスティアリゾート。ある者はその理想郷に順応し、ある者はその監視社会からこぼれ落ちる。自由を求める男女が交錯する6つの物語。 ユ…

コロナ時代の僕ら | コロナ以前の世界に戻りたいか

概要 新型コロナウィルスがイタリアで広まり始めた2020年2月から、イタリア全土を覆い尽くす3月までの間、『素数たちの孤独』がベストセラーになったイタリア人作家が書き綴ったエッセイ集。 コロナの時代の僕ら作者:パオロ・ジョルダーノ,Paolo Giordano発…

逆ソクラテス | 道徳の時間です

感想 伊坂幸太郎デビュー20年目の短編集。収録5編のうち、書き下ろしは3編。 小学生の主人公たちが教師の決めつけやいじめの原因といった「先入観」に立ち向かう。 先入観がひっくり返る瞬間はとても心地いい。 逆ソクラテス (集英社文芸単行本)作者:伊坂幸…