三体 死神永生 | 劉慈欣の想像力についていけるか

『三体』三部作の最終巻。
太陽系と三体世界のつばぜり合いを描いた二作目の『黒暗森林』よりもさらにスケールアップして、物語は全宇宙へと広がる。
規模は広がったけれど、それが『黒暗森林』よりもおもしろいかというと……。
自分は『黒暗森林』のほうが好きかなと。劉慈欣の想像力についていけていないのだ。

数万年の時の流れや、次元攻撃を駆使する異星(異次元?)文明と言われても、私の矮小な脳では処理能力不足。なぜ人類が近くできる三次元以外の次元は折りたたまれているのか、なぜ光速に限界があるのかという疑問に、宇宙文明間の戦争を絡めたのはおもしろかったけれど、細かい描写を頭の中にきちんと思い浮かべることができた自信はない。

物語の構造にしても、大逆転勝利で終わった『黒暗森林』に対してこの『死神永生』は無力感が残ったまま終わる。そりゃ次元を操る相手に対して、地球や太陽を離れることがやっとの人類ができることなんてないわけで、したがってカタルシスは少ない。

否定的なことを書いてしまったけれど、そこらのSFより圧倒的におもしろいのは間違いない。
自分の想像力には『黒暗森林』がちょうど良く、『死神永生』は外伝のような感じを受けてしまったというだけで。