映画『罪の声』レビュー | こんなにまとまりのいい話だったっけ?

昭和の未解決事件「グリコ・森永事件」を下敷きにしたフィクション。下敷きとは言っても、なぜわざわざ「ギン萬事件」という架空の事件に仮託したのかというレベルで「グリコ・森永事件」をトレースしていて、昭和の劇場型犯罪に対する推理といった様相。

5年くらい前に原作は読んでいて、大筋はわかっているはずだったのだけれど、映画を観てこんなにまとまりのいい話だったかと驚いた。

犯行に「声」を利用された子どもたちの葛藤に、ここまで焦点の当たる作品だったっけ? いや『罪の声』という題名からして、子どもたちの「声」が中心にあるのは原作から変わらないのだろうけれど…。
当時の私の感受性が低かったのか、身代金を手に入れられなかった犯人グループに何の得があったのかというところに気を取られすぎていたのか。
映画化にあたって構成をかなり変更したようだし、映画の作り手の妙だと思うことにしよう。