『半導体戦争』感想 | いかにして半導体が世界を動かすようになったのか

携帯電話から戦場に撃ち込まれるミサイルまで。   それなしでは成り立たず、コロナによるサプライチェーンの混乱によって一気に主役に躍り出た半導体の黎明期から現在までの歴史を描く。

どちらかというと政治寄りの解説。
これだけを鵜呑みにすると、とにかくカネをかければサムスンやTSMCが生まれるんだと勘違いしそうになるので、もうちょっと技術的な話があってもよかったかなと。

たしかユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』の中だったと思うけれど、現代の資源はソフト化していて、例えば100年前だったら原油が取れる地域を戦争で手に入れれば利益が見込めたが、現代ではたとえシリコンバレーを占拠したところで、侵略者にメリットはないという話があった。当時はなるほどと思ったけれど先端半導体の局在性を観るにそうでもないな。シリコンバレーを攻めたところでメリットは薄いけれど、台湾が攻められたらどうなるか。

台湾を手に入れたところで先端半導体を作れるようになるとは思わないけど、自由主義諸国の優位性は台湾で製造される先端半導体にあるわけで、それがないなら彼我の戦力差は縮まる。世界が半導体の製造技術の確保に躍起になるのが理解できる本。