☆4
昭和の未解決事件「グリコ・森永事件」を下敷きにしたフィクション。下敷きとは言っても、なぜわざわざ「ギン萬事件」という架空の事件に仮託したのかというレベルで「グリコ・森永事件」をトレースしていて、昭和の劇場型犯罪に対する推理といった様相。
『三体』の劉慈欣の短編集。 名前からして皮肉が効いてて良いですね。 表題作の『老人介護』もいいけれど、いちばんおもしろかったのはその後日譚になる『扶養人類』。
宇宙に詳しい人ならご存知のとおり、アポロ18号は現実には存在していない。 正確に言うならば、アポロ計画では20号まで予定されていたけれど、NASAの予算削減などのあおりを受けて、18号以降は実行されることがなかった。 だからこの小説は架空の「アポロ18…
無理がありまくりなストーリーですが、泣けてしまう映画です。
ビジョナリーと称されるケヴィン・ケリーのインタビューと寄稿集。 次の「5000日後」に対して彼が抱くビジョンと、彼が未来を言い当ててきた方法について。
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上作者:アンディ ウィアー早川書房Amazon 『火星の人』のアンディ・ウィアーの最新作。 今度の主人公の所在地は火星よりもはるかに遠いくじら座の恒星系。 地球では太陽の光量が指数関数的に減少するという現象が観測され、…
FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド作者:クリスティー・シェン,ブライス・リャンダイヤモンド社Amazon 最近聞くようになったFIREの指南書。 ベースにあるのは資産の4パーセントの資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年…
実力も運のうち 能力主義は正義か?作者:マイケル サンデル早川書房Amazon 『ハーバード白熱教室』『これからの「正義」の話をしよう』のマイケル・サンデルが能力主義と格差について語る。 貴族を打ち倒して成立した民主主義。 階級社会がなくなったことで…
人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する (NewsPicksパブリッシング)作者:マット・リドレーニューズピックスAmazon 『繁栄』のマット・リドレーがイノベーションについて語る。 イノベーションを生むにはどうしたらいいか? 長年繰り返さ…
三体Ⅲ 死神永生 上作者:劉 慈欣早川書房Amazon 『三体』三部作の最終巻。 太陽系と三体世界のつばぜり合いを描いた二作目の『黒暗森林』よりもさらにスケールアップして、物語は全宇宙へと広がる。 規模は広がったけれど、それが『黒暗森林』よりもおもしろ…
遺伝子‐親密なる人類史‐ 上 (ハヤカワ文庫NF)作者:シッダールタ ムカジー発売日: 2021/03/03メディア: Kindle版 デビュー作『がん‐4000年の歴史‐』でピューリッツァー賞を受賞したシッダールタ・ムカジーが遺伝子について語る。 がん‐4000年の歴史‐ 上 (ハヤ…
2040年の未来予測作者:成毛 眞発売日: 2021/01/01メディア: Kindle版 2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する作者:英『エコノミスト』編集部発売日: 2017/04/14メディア: 単行本(ソフトカバー) 2060 未来創造の白地図 ~人類史上最高にエキサイティン…
アインシュタインの戦争―相対論はいかにして国家主義に打ち克ったか―作者:マシュー・スタンレー発売日: 2020/07/24メディア: Kindle版 アインシュタインの最大の功績とされる一般相対性理論が発表されたのは1915年。 この時、世界は1914年から4年間続く第一…
あらすじ 「タイタン」と呼ばれるAIにより仕事から解放された人類は自由を謳歌していた。 しかし世界に散らばる12個のタイタンのうちの1つ、北海道にある「コイオス」が機能不全に陥ったことで、心理学を趣味としていた内匠成果のもとに、「カウンセリング…
52ヘルツのクジラたち作者:町田そのこ発売日: 2020/04/21メディア: Kindle版 本屋大賞ノミネートということで、積読の山から引っ張り出す。 52ヘルツのクジラは、実際に存在している(と思われる)正体不明のクジラの個体。1980年代から鳴き声だけは観測され…
ディズニーCEOが実践する10の原則作者:ロバート アイガー発売日: 2020/04/04メディア: Kindle版 『10の原則』と書かれると、お手軽な実用本のような気がするけど、中身は2005年からCEOを務めたロバート・アイガーの自伝的で骨太な内容。 原題も『The Ri…
アーモンド作者:ソン・ウォンピョン発売日: 2019/07/12メディア: Kindle版 2020年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位。 扁桃体が人より小さい十六歳の高校生、ユンジェの物語。 扁桃体は感情を司る器官で、アーモンドの形に似ているとか。それが小さいということは…
これがすべてを変える――資本主義VS.気候変動(上)作者:ナオミ・クライン発売日: 2017/08/31メディア: 単行本 気候変動の裏で働く資本主義の論理を痛烈に批判した本。 本屋に平積みされているのを手に取ったのが2018年。何か大事なことを言ってそうと思いなが…
あらすじ 位置情報はもちろん視覚や聴覚など収集できる限りの個人情報を提供することで、人並み以上の生活が保障されるアガスティアリゾート。ある者はその理想郷に順応し、ある者はその監視社会からこぼれ落ちる。自由を求める男女が交錯する6つの物語。 ユ…
概要 新型コロナウィルスがイタリアで広まり始めた2020年2月から、イタリア全土を覆い尽くす3月までの間、『素数たちの孤独』がベストセラーになったイタリア人作家が書き綴ったエッセイ集。 コロナの時代の僕ら作者:パオロ・ジョルダーノ,Paolo Giordano発…
感想 伊坂幸太郎デビュー20年目の短編集。収録5編のうち、書き下ろしは3編。 小学生の主人公たちが教師の決めつけやいじめの原因といった「先入観」に立ち向かう。 先入観がひっくり返る瞬間はとても心地いい。 逆ソクラテス (集英社文芸単行本)作者:伊坂幸…
あらすじ 後にポル・ポトと呼ばれる革命の指導者サロト・サルの隠し子として生まれた少女、ソリヤ。辺境の農村で神童として生まれた少年ムイタック。2人は革命の砲声が轟く1975年のカンボジア、バタンバンで邂逅する。 秘密警察、恐怖政治、強制労働、虐殺——…
人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA)作者:柞刈 湯葉発売日: 2020/03/18メディア: 文庫 はじめに 『横浜駅SF』の柞刈湯葉。 「増殖を続ける横浜駅」なんてテーマで小説を書けるぶっ飛んだ発想をする人という印象を持っていたし、何ならTwitterもフォローしているけ…
コンテイジョン (字幕版)発売日: 2013/11/26メディア: Prime Video このパンデミック映画が公開されたのは2011年。 「パンデミックはどのように発生し、社会はどう変わっていくのか」 映画が描くパンデミックの発生は、2003年のSARSと、2009年の豚インフルエ…
世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由作者:荒木 博行発売日: 2019/12/05メディア: 単行本 概要 リーマン・ブラザーズ、コダック、タカタといった有名企業25社の栄枯盛衰を集めた事例集。 なぜ一時代を築いた彼らは倒産していったのか。 5つの型…
さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)作者:河野 裕出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2019/08/28メディア: 文庫 『サクラダリセット』『いなくなれ、群青』の河野裕の新シリーズ。 とはいっても、第1巻が出たのは2017年。『ウォーター&ビスケットの…
『パラサイト 半地下の家族』とアカデミー賞作品賞を争い惜しくも逃す。 アカデミー賞受賞直後に日本公開ともなれば、最高の出だしだったのに。 とはいえ、撮影賞と視覚効果賞を受賞した「全編ワンカット」は凄まじい。 一方で、「全編ワンカット」が仇にな…
息吹作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/04メディア: 単行本 『あなたの人生の物語』のテッド・チャンの最新短編集。 年にひとつ短編を発表するかどうかという執筆ペースにも関わらず、出せば出したでヒューゴー賞やらネビュラ賞…
韓国映画初のパルムドール受賞作。 階級格差をテーマにしたブラックコメディ。 ひょんなことから息子が大富豪の娘の家庭教師になったことをきっかけに、娘、父、母の四人家族が芋づる式に大富豪の家に入り込み、寄生を始めていくさまは単純におもしろい。 紹…
ド迫力のレースシーン! クリスチャン・ベールの名演技! でも物語は……。 僕の言いたいことは大体、WIREDの記事に載っていた。 wired.jp そもそもこのフォードとフェラーリの対決をドラマにするのが難しい。 絶対王者フェラーリ vs 弱小フォードという図式が…