最近聞くようになったFIREの指南書。
ベースにあるのは資産の4パーセントの資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年以上持続する可能性が95パーセントあるという論文。
例えば、毎年の生活費が400万円であるならば、1億円の資産があれば利回りやら何やらで平均して4%=400万円を毎年受け取れるはずだから、生活費とバランスがとれる。
その資産を築くために著者の夫婦が考えたこと、実行したことがこの本には書かれている。
とにかく支出を抑える、貯金は株と債券に投資する、マイホームは借金になるので買わない、などなど。
読んでいると自分でもできそうな気がしてくるけれど、序章の欄外に載っているURLからダウンロードできる付録を見ると、けっこう難易度が高いのではと。
付録には著者夫婦が働き始めた2006年から、仕事を辞めた2014年までの資産状況の詳細が書かれているのだけれど、例えば2007年なんかは夫婦の税引き後収入が合わせて125,000ドル。
1ドル=100円として考えると、夫婦の収入は1,250万円、ひとりあたり625万円。新卒2年目で税引き後に600万円ももらえる人材が日本にどれほどいるだろうか。
いや、著者夫婦はカナダの人なので、もしかしたらカナダドルなのかもしれない。その場合、1カナダドル=80円とすると、夫婦の収入は1,000万円、ひとりあたり500万円。優秀な人材であることに変わりはない。
この戦略の肝はなるべく多くの資金を投資に回して複利の効果で増やしていくということなので、この夫婦の優秀さが頭の片隅にないと、同じようにはいかないと思う。
とはいえ、支出を抑えて投資に回すことの重要性を教えてくれるし、リーマンショックを乗り越えた上でFIREできるくらいの資産を作っているのは事実なわけで、FIREできるかどうかは別として資産形成の実例として捉えるぶんには参考になるのでは。