世の中にトレード指南書は数あれど、突き詰めて考えると定性的な解説で終わっているものがほとんど。
節目の価格帯なので反転すると考えてエントリー or 節目を抜けたのでトレンドができると考えてエントリーなど、あとでチャートを見ればその通りの動きをしているのは明白だけれど、エントリーするその時点では、どっちに動くかわからず、結局はその人の相場観によるところが大きい。
平均線のクロスや、高値 or 安値の更新は定量的なシグナルではあるけれど、そのシグナルに沿ったエントリーを薦める指南書であっても、いつ決済すべきかといった「出口」の部分については定量的な指標がほとんどない。
さらには、大抵は勝ちトレードの夢の部分しか載っておらず、そのトレードルールに従うと、どれだけの含み損を覚悟すべきで、勝率はどれくらいなのかといったところは定量的に示されないというのが常。
そんな定性的な状況に対して、データの暴力を振るうのがこの本。
「〇pipsを狙うなら、どのルールが良いのか」を徹底検証! 出口から考えるFXトレード (Modern Alchemists Series)
- 作者: 角田和将
- 出版社/メーカー: パンローリング株式会社
- 発売日: 2018/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
一般的によく言われている移動平均線クロスやMACDなどに従ってトレードすると、どれくらいの利益(または損)を被ることになるのか、過去のデータをもとにシミュレートした結果が載せられている。
トレードルールは移動平均、MACD、ボリバン、ストキャス、高値安値更新 or 反発、タートルズトレードにまつわるものまで全8種類。
通貨は円、ドル、ユーロ、ポンド、豪ドルなどペアにして全8種類。
時間足は5分足から日足まで6種類。
単純に考えたら8 x 8 x 6 の384通りの組み合わせの検証結果載せられていることになる。さらには組み合わせによって東京時間、ロンドン時間、アメリカ時間といった時間ごとや、景気のステージごとの分析も載せられている。
かつてこれほど網羅的にトレードルールを検証した結果を示したものがあっただろうか。
トレードルールは単純なものばかりで、解説も報告書といった感じの無味乾燥なものだけれど、このデータ量を見れるなら、それだけで本を買う価値があると思う。
- 作者: カーティス・フェイス,飯尾博信+常盤洋二,楡井浩一
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2007/10/17
- メディア: 単行本
- 購入: 14人 クリック: 154回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
結果については、プラスになるトレードルールはかなり少なく、FXで退場する人が多いというのは、データ的にも示されるのだなという印象。
おもしろいのは、よく言われる平均線クロスは成績が悪く、資金を全て失うようなシミュレート結果になったこと。
対して、高値ブレイクなど、トレンドに乗って長期で大きな利幅を狙うようなルールは資金を2倍近くにできるものが出てくる。
また、トレードの時間帯や、景気の周期によっても、トレードルールの優位性が変わっていて、臨機応変に対応していかなければならないのだなというのがデータでわかる。
願わくば、もう少し複雑なトレードルールの検証も欲しかったけれど、巻末には付録として、本の中で使われたプログラムとそのイジリ方も書いてあるので、好きにやってくれということだろう。
定量的にエッジのある方法を検証できないものかと考えている人には、ブレイクスルーになる本では。
「〇pipsを狙うなら、どのルールが良いのか」を徹底検証! 出口から考えるFXトレード (Modern Alchemists Series)
- 作者: 角田和将
- 出版社/メーカー: パンローリング株式会社
- 発売日: 2018/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る