あらすじ
『名探偵アティカス・ピュント』シリーズの最新刊の原稿を読み進めた編集者の私だが、原稿からは結末部分が抜けていた。著者に連絡をとれず憤りを募らせる私を待っていたのは、予想だにしない事態だった——。小説世界の謎解きと、現実世界の謎解きが交差する怪作小説。
- 作者: アンソニー・ホロヴィッツ,山田蘭
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/09/28
- メディア: 文庫
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感想
※ネタバレあり
「史上初! 年末ミステリランキング全制覇」の帯文が眩しく、いちばん注目されてるミステリ小説ではなかろうか。
読んだ感想は、ずいぶんクセが強いなぁと。
上巻はほぼ丸々「カササギ殺人事件」という小説内小説。
小説内小説だけでも珍しいのに、これだけ長いものは経験したことがない。
作者の経歴、シリーズ既刊、本シリーズに寄せられた絶賛の声など、小説内小説に対して装飾が凝っていて、これが大仕掛けになるんだろうなという期待をさせる。
小説内小説は名探偵のアティカス・ピュントが事件の真相に辿り着いたと宣言したところ=謎解きの直前で、原稿が途切れて編集者の「私」のパートである下巻に移る。
ミステリの肝である謎解きの部分を欠落した原稿を送ってくるとは何事だと、「私」は激怒するのだけれど、著者のアラン・コンウェイが既に死んでいることを知る。
アラン・コンウェイの死は事故なのか、自殺なのか、はたまた他殺なのか。
「私」はその死の真相を突き止めることになるのだけれど、あれだけ期待を煽った割に、上巻の小説内小説との関連性が薄く……。
遺書と、頭文字の「アナグラム解けるか」と、アナグラムの「A stupid cunt(馬鹿まんこ)」が小説内小説の役割だとは……。
自分が書きたいものが売れるわけではない作家の悲哀がテーマだと捉えれば良いのだろうか。
現実パートにも小説パートにも、きちんとした謎解き要素はあるから、一つに小説で二つの謎解きが楽しめると考えれば、ミステリ好きにはたまらないのかもしれない。
自分には合わなかったけれど。
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