さよならの言い方なんて知らない。 1 〜 3巻 | 悲観的なヒーローふたたび

さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)

さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)

  • 作者:河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/08/28
  • メディア: 文庫

『サクラダリセット』『いなくなれ、群青』の河野裕の新シリーズ。
とはいっても、第1巻が出たのは2017年。『ウォーター&ビスケットのテーマ』として刊行していたものを、第3巻発売を前に『さよならの言い方なんて知らない』に改題し、レーベルを角川スニーカー文庫から新潮文庫nexに変更。
どんな理由があったのかはわからないけれど、新潮文庫になったことで書店で入手しやすくなったのは間違いない。

肝心の中身は、8月をループする荒廃した街・架見崎で繰り広げられる、銃あり、特殊能力ありのデスゲーム。
架見崎には死があふれていて、同じく架空の街での異能バトルを題材にした『サクラダリセット』とはまた違ったダークな雰囲気。
戦場に飛び込む主人公は<階段島>シリーズの七草のような楽観的ではないけれど、悲観的とも言い難い人物。臆病で卑屈といってもいい。そのくせ、というよりそのおかげで、架見崎のような窮地では力を発揮する。

彼がいちばん力を発揮するのは、心が底から恐怖で揺さぶられているときだ。いつもなにかに怯えている彼は、堂々と怯えられる環境に、むしろ安心するようにもみえる。だからこういう、命懸けの戦いなんてものは、きっと彼の独壇場だ。 ほら、今だって。 香屋歩は怯え切った、ひどい顔で笑っている。 第1巻 p91

今までのどの作品よりもアクション満載でとてもアニメ映えしそう。
架見崎の舞台設定とそこで披露される特殊能力はとてもゲーム的で、そっちのほうへの展開もあるのでは。

登場人物が出揃い、第1部完といったようすで終了した第3巻。
ある登場人物に関する新事実が明らかになり、架見崎の成り立ちにま謎が深まるばかり。
忘れてしまわないうちに続きを早く。

さよならの言い方なんて知らない。3 (新潮文庫nex)

さよならの言い方なんて知らない。3 (新潮文庫nex)

  • 作者:河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: 文庫

さよならの言い方なんて知らない。2 (新潮文庫nex)

さよならの言い方なんて知らない。2 (新潮文庫nex)

  • 作者:河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/09/28
  • メディア: 文庫

さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)

さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)

  • 作者:河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/08/28
  • メディア: 文庫