スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム | ヒーローの空白を埋める虚構の話

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感想

※ネタバレあり アクションあり、コメディあり、甘酸っぱい恋模様ありで単純におもしろい。

けれど、おもしろいだけで済まされないテーマ性も見え隠れ。
『アベンジャーズ:エンドゲーム』で、トニー・スタークやキャプテン・アメリカといったヒーローたちを失った世界が何を求めるのか。世界の空白を埋めるものは何なのか。
その後釜を狙ったのが、ジェイク・ギレンホール演じるミステリオ。彼はドクター・ストレンジもびっくりの魔法のようなバーチャルリアリティを駆使し、自作自演のストーリーで自らを英雄として演出する。

おりしも現実世界でも、絶対的なヒーローは存在せず、問題が発生しては予定調和で自作自演じみた解決方法が繰り返される。そんな現実を投影するために登場したのがミステリオというキャラクターなのではないか。
この映画があからさまなフェイクニュースをクリフハンガーにして幕を閉じるのも偶然ではないはず。

と、小難しいことを考えてみたけれど、冒頭に書いた通りこの映画は、アクションあり、コメディあり、甘酸っぱい恋模様ありの、単純なエンターテイメントとしてこそおもしろい。
まずは頭を空っぽにして楽しめばいい。