あらすじ
前作の大惨事から3年。「ジュラシック・ワールド」は放棄され、イスラ・ヌブラル島は恐竜たちの楽園となった。しかし、島に火山噴火の危機が迫る。恐竜たちを救い出すのか、それとも自然に生死を委ねるのか。彼らの第二の ”創造主” である人間の選択は如何に——。

- 作者: マイケルクライトン,坂野徳隆,スティーヴンスピルバーグ,コリントレボロウ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2018/07/06
- メディア: 文庫
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感想
大満足。
その一言に尽きる。
リメイク1作目の『ジュラシック・ワールド』を観たとき、その出来に満足すると同時に、「これがシリーズ化されるなら、次が鬼門だろうなあ」と思っていたのです。 www.subtle-blog.com
というのも、『ジュラシック・パーク』の続編の『ロスト・ワールド』が惨憺たる結果だったから。
決しておもしろいとは言い難く、ゴールデンラズベリー賞で「最低続編賞」「最低脚本賞」「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」の3部門にノミネートされた作品。 スピルバーグでさえ、『ジュラシック・パーク』の続編で大コケしていたのだから、『ジュラシック・ワールド』の続編も、その二の舞になるのではないかと。

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さらに言えば、『ジュラシック・ワールド』に終始存在した、『ジュラシック・パーク』のストーリーラインをなぞっているような既視感が心配の一つで。
『ジュラシック・パーク』がそれだけ優れていたと言うことなんだろうけど、意地悪な言い方をすれば、ストーリーをなぞるだけではリメイクの意味が薄い。
一方で、『ロスト・ワールド』はストーリーを作り直さなければ『ジュラシック・ワールド』の続編として耐えられないだろうし、そのハードルを超えてこそ、リメイクした意味があるというものだろうと。
そして結果としては、リメイクした意味が大いにあったと思うのです。

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以下ネタバレあり
『ジュラシック・ワールド』シリーズ2作目である今作も、『ロスト・ワールド』と同じく、島と本土の2つのパートに分かれている。
島のパートだけでも1つの映画のとして成り立つんじゃないかと思うくらい、感情が揺さぶられる。
前作で活躍したラプトルのブルーとの再会に、お決まりの裏切り。火山の噴石と流れる溶岩は『ボルケーノ』を彷彿とさせる。『ボルケーノ』が90分かけて描いたことを、30分で終わらせるだから、なんて贅沢なんだろう。

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噴火と火砕流から逃げるため、ジャングルから飛び出してくる多種多様な恐竜たち。これまで逃げ惑うのは人間の側ばかりだったけれど、噴火という大災害の前では、恐竜も人間と同じように逃げ惑う。
そして最後の、島から逃げ遅れたアパトサウルスが真っ赤な火砕流に包まれていく姿には、胸をうたれるものがある。
ところ変わって本土のパート。
『ロスト・ワールド』では騒動を街中に広げたせいで話が薄く広がってしまっていたところを、屋敷の中の出来事にとどめることで、物語のスピード感と濃度を維持。
さらには、前半部分から匂わせていたクローンの少女という捻りを加えて「人間のエゴで生み出されたものに、罪はあるのか?」という問いかけを明確にしている。
人を襲うから恐竜を殺すというけれど、人間が勝手に作っただけなんですよ。この少女も自然の摂理に反しているけれど、少女に罪はないんですよ、と。
もっと言うなら科学が作ったものに良いも悪いもなくて、使い手である人間次第なんですよ、と。前作から一貫して、悪人側が経済の論理に支配されていることを考えるとおもしろい問いかけ。
少女の共感によって、『ジュラシック・パークⅢ』と同様に、ラストでは恐竜たちが世界に放たれるわけだけど、次回作はどんな展開になるのだろう。まったく想像がつかない。
いずれにせよ、マルコム博士が最後のモノローグで言う通り、人間だけの世界ではなくなってしまったわけだ。
百獣の王、ライオンと対峙するティラノサウルス。
ビッグウェーブから姿を表すモササウルス。
街を見下ろすヴェロキラプトル。
そして、マルコム博士のセリフ “ Welcome to Jurassic World.”
なんて余韻のある終わり方だろうか。

- 作者: マイケルクライトン,坂野徳隆,スティーヴンスピルバーグ,コリントレボロウ
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