今でこそ当たり前になったパソコンやインターネットだけれど、ほんの20年前までは「わけのわからない」ものだった(バフェットも「理解できない企業には投資をしない」と言って最近までIT企業に手を出さなかったくらいだし)。
インターネットやITなんていう形がなく、目で見えず触れることもできず、言ってしまえば得体の知れないものが、なぜここまで急激に普及したのか不思議に思ったことはないだろうか。その不思議を12の特徴から解説するのがこの本。
著者はWIRED元編集長のケヴィン・ケリー(「FREE」「MAKERS」のクリス・アンダーソンといい、WIREDの編集長はタレントぞろい)。
結局のところ、インターネットは人間の欲求をうまく利用したシステムなのである。物語でもテクノロジーでも、感情を刺激するものは強い。
- 作者: ケヴィン・ケリー,服部桂
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/07/23
- メディア: 単行本
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コンピューターが登場してから今まで、そしてこれから生まれるテクノロジーの特徴について、本の中でケビン・ケリーは12の特徴をあげている。
ビカミング(なっていく)
コグニファイング(認知化していく)
フローイング(流れていく)
スクリーニング(画面で見ていく)
アクセシング(接続していく)
シェアリング(共有していく)
フィルタリング(選別していく)
リミクシング(リミックスしていく)
インタラクティング(相互作用していく)
トラッキング(追跡していく)
クエスチョニング(質問していく)
ビギニング(始まっていく)
それぞれの解説はSFのようなおもしろさ。
結局のところ、インターネットは何かを知りたい・共有したい・創造したいという欲求を中心に動いている。
知りたいという欲求を満たしたのは主にGoogleだし、共有といえばFacebookやTwitterのSNS、創造の場はYoutubeやKickstaterが提供している。
さらにこれからは人工知能が登場して、これらの機能はより強化され、重要なものになるだろう。
検索結果はよりパーソナライズされたものになるだろうし、単語の組み合わせだけでなく、文脈でこちらの知りたいことを推測してくれるようになるだろう。
ビッグブラザーよろしく人工知能が僕らの生活の大半を見守ることで、 Amazonはより消費者の好みに合ったものを提示するだろうし、Facebookは何のつながりもないけれど気の合いそうな未知の知り合いを提示してくるようになるかも知れない。
仕事が効率化されることで生まれた余暇で、コンテンツを消費する側も作る側も増えて、YoutubeやKickstaterはより活気のある場になるに違いない。
人工知能を足がかりにして、インターネットを中心にしたテクノロジーはまた一段高いところに登るはず。その波に乗り遅れないようにしなければならない。
これからのテクノロジーを考える上で、大事なことがまとめられている一冊。かなりおすすめ。
- 作者: ケヴィン・ケリー,服部桂
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/07/23
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