データを誤魔化したくなったときに備えて読んでおきたい3冊

前置き

厚労省の統計調査の不正がニュースになっている。
でもこれは今に始まった話ではなくて、政府で始まった話でもなくて、最近続いている企業の不正と根っこは同じだと思う。
官民あげて、国全体がデータを誤魔化しに走っている。
そりゃ、自分に都合の悪いデータが出てきたら、誤魔化したくなる気持ちもわからなくはないけれど……。
IoTだのAIだのが叫ばれている時代に、データを誤魔化していたら致命的なのではないか。
データの重要性を理解していたら、データを誤魔化しちゃいなよという悪魔の囁きにも勝てるはず。
というわけで、データの重要性を実感させてくれる本を3冊紹介。

FACTFULENESS(ファクトフルネス)

コンピュータも人工知能も登場しないオーソドックスな統計に関する読み物。
この本を読むと自分自身がどれだけ「わかったつもり」になっているかに気づかされる。
その気づきの元になるのはデータだ。
データを無視し、挙げ句の果てに書き換えてしまっていては、世界に対して目隠しをしているのと同じ。
目隠しをして混沌とした世界を歩いていたら、遅かれ早かれ大怪我をする。
データを大切に扱い、データに正しく向き合いましょう。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本
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ホモ・デウス

今後数十年のうちに人間(ホモ)は神(デウス)のごとき存在となる。その変化の中心にいるのはAIだ。AIはデータを食べることで成長する。
本の最後のほうに、データ教という概念が出てくる。
GoogleやFacebookやAmazonといったビッグデータのプラットフォーマーたちは、膨大なデータから莫大な利益を生んでいる。
お金を信奉するのが資本主義なら、いずれ多くの人がデータを信仰し始めることだろう。それはすでに始まっているかもしれない。
データ教が広まる時代に、データの誤魔化しなんて大罪を犯したら、どんな罰が待ち受けているだろうか。
魔女狩りのように苛烈な罰ではない。それはきっと、ゆっくりと気づかぬうちに進歩する世界から取り残される、そんな静かで冷たい罰だ。

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ゼロから作るDeep Learning

猫も杓子も「人工知能」と言う昨今。けれどその基盤であるディープ・ラーニングを少しでもかじったことのある人は少ない。
この本はわかりやすくディープ・ラーニングの基礎を教えてくれる。
文字の識別といった初歩的な判断をする「人工知能」を作るだけでも、膨大なデータ量を必要とする。
もっと複雑な判断をする「人工知能」を作るにはどれだけのデータが必要だろうか。
試しに株の値動きを予測する人工知能を作ってみるといい。ネットで探せる限りのデータを入力して数時間学習させても、大して精度のいいものはできない(実体験)。
もしもデータが全くなかったら?
あったとしても間違いや誤魔化しで汚染されていたら?
そんな状況では呪文のように「人工知能」と唱えても、どんな魔法も起きないだろう。

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

最後に

「隠蔽だ!」と声をあげて犯人探しをするのもいいけれど、何人かの人間を吊るし上げて問題が解決するような話ではないと思う。
データを誤魔化すこの国が、AIを使いこなせるわけがない。 IoTと叫ぶのは良いけれど、結局、データが自分の考えに会わなければ無視をするか、データを書き換えてしまうのでは?
そんなことをしないために、一人ひとりがデータの重要性を理解していなければいけない。
サビ残だらけの勤怠記録をAIに見せたらどうなるだろうか。
あなたがどんなにキツい仕事でも、どんなに仕事が立て込んでいても、きっちり8時間で結果を残すハイパフォーマーであるとAIは理解することだろう。
そして今まで以上に仕事を振るはずだ。だって、どんなに仕事をしてもきっちり結果を残すのだから。
そんなディストピアが訪れる前に、データはきちんととって管理するようにしましょう。