私的 Book of the Year 2017 | 数年後も本棚に残したいもの

12月に入り、Amazonが2017年の本のランキングを出す季節になってまいりましたので、自分でも今年読んだ本の中で良いなと思ったものを3冊ほどまとめておこうかと。基準は、数年後も本棚に残しておきたいかどうか。
ちなみに、私のオール・タイム・ベストは伊藤計劃の『虐殺器官』と『ハーモニー』。

サピエンス全史

これは文句なし。1年以上本棚で平積みされたことが、注目度だけじゃなく中身も伴っていることを証明している。あまりに注目されてレビューもたくさんあるものだから、私なんかが取り上げるのもはばかられる。
軽妙な語り口で、人類の歴史を語るのがこの本の魅力。これまで辿ってきた人類の足跡を知れば、未来を予測する手がかりになるはず。
海外では続編の『HOMO DEUS』(ホモ・デウス)が出版されていて、そちらも評判になっているようす。日本語訳は2018年秋ということなので、その予習としても、まだ読んでいない人はぜひ。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

<インターネット>の次に来るもの

インターネットをはじめとするテクノロジーがなぜ受け入れられ、これからどう発展していくかを12の視点から解説したのが本書。
インターネットは人間の本能的な部分に訴えかけるものだったから成功した。逆に言えばどんなに優秀なテクノロジーであっても、本能に訴えかけ、人に受けいれられなければ失敗するだろうということに気づかせてくれたのが、この本からの収穫。

〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則

〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則

反脆弱性

効率を優先し、少しの失敗も許さないこの社会は不確実なリスクに対して脆弱だと切り捨てるのが本書。脆弱の反対である反脆弱という新しい概念を示し、失敗をすることで強くなるシステムを組み立てることが、これからの不確実な時代には重要だと説く。
その考え方は大いに共感できる。「失敗は成功のもと」なんて、人間が作った聞こえの良い言葉のように聞こえるけれど、数十億年の長きに渡って進歩を続けてきた生物が、自然淘汰と突然変異という形でその格言を体現してきたわけだし。 これは個人的な話だけれど、この本を読んで「まずは失敗しよう」と思うようになったことで、結果的に生活や仕事での積極性に繋がったし、「効率なんて考えずにやりたいことに手を出すのが吉」と思ってこうやって定期的にブログを書くようになった。なので、お堅い経済書のような雰囲気を醸し出しているけれど、自己啓発としての効果もあるかと。

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

  • 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛,千葉敏生
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

  • 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛,千葉敏生
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

まとめ

以上、数年後も本棚に残したい3冊でした。
『反脆弱性』に対する自分の反応が顕著だけれど、経済書と思って手に取った本が、そこらへんの自己啓発本よりも自分の行動に影響を及ぼしたりと、予想外の形で自分の糧になるというのも本の醍醐味。
来年もおもしろい本にで出会えることを祈って。