『世界でいちばん透きとおった物語』感想 | 紙の書籍でしかできないトリック

「王○のブランチ」で超話題!!なんて売り方をされると、自分は期待よりも警戒してしまうタイプなのですが、この作品は良い意味で期待を裏切られた。

物語としての感想は、作中の言葉を借りるなら「普通に面白かったけど凄みはなかった」。
凄みは物語の外、紙の文庫本というハードにあり、映像化なんて絶対にできないし、割と先進的なイメージのある新潮文庫NEXが電子書籍版を出していないのはそういうことかと。
このトリックを成立させるためにかかった労力は想像するだけで恐ろしい。これを思いついた作家は今までにも何人かいたかもしれないけれど、本当にやってのけたのはこの作品が初めてだろう。
これだけ大がかりなことをやっておいて、物語が普通に面白ければ、それは満点ですよ。