父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 | 経済を民主化する

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感想

ラノベのように長いタイトルの経済書。タイトルだけではなく中身もラノベのように平易でわかりやすく、小説や映画を題材に、経済の誕生から借金の必要性、機械化の危険性を説く。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

  • 作者: ヤニス・バルファキス,関美和
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

お高くとまったこれまでの経済書には見られない語り口で、多くの人に、とりわけ著者の娘の世代にわかりやすいように、著者が考える経済の本質について説明していく。
ギリシャの財務大臣にまで登りつめた著者がこの本を書いた目的は、経済の民主化だ。背景には、専門分化した経済学への不信感がある。

一流の学者は見事な経済モデルをつくっていたが、そうしたモデルはこの本に書いたような現実の労働者やおカネや借金を勘定に入れていない。だから市場社会では役に立たない。 二流の経済評論家たちは、自分が崇める一流の経済学者のモデルを理解していないばかりか、自分の無知を気にとめてもいないようだった。 そんな「専門家」の話を聞くにつけ、彼らが大昔の占い師のように思えてきた。 p236

われわれ一般市民は、経済は難しいからと専門家にすべてを任せがち。
一方で専門家が描くのは、現実から一部を切り出し簡略化したモデルである。理論を作るには簡略モデルが必要だが、それを現実に持ってきたところで、うまくいくはずがない。
この溝を埋めるには、限られた専門家だけが決定権を握る現状を変えなければならない。
なぜ専門家に権力が手中しているのかといえば、一般市民に経済に知識が不足しているから。
だからこの本を書き、必要な経済の知識を広めることで、経済を民主化し、より良い社会を目指そうというのが、著者の目的。
専門家だけに任せていたら、経済は不幸を生み出す機械になってしまうだろう。

この本では経済の話しか出ていないけれど、問題を都合よく切り出して簡略化したモデルを作り出し、口当たりの良い解決策を提示して人気を得るというのは、最近の大衆迎合主義がよく使う手の気がする。それができてしまうのは、私たちに物事の分別を判断する知識が足りないから。

「民主化」というキーワードは、経済だったり、政治だったり、はては科学だったり、いろいろなところで叫ばれているけれど、そのすべての知識を身につけようとしたら、私たちの時間が足りないのも事実。

ただ、この本は、手軽に経済の基礎知識をつけるという点では良いと思う。シンプルだけれど物事の羅列に止まることなく、心に止まる文章で、経済の本質を語っている。
費用対効果、時間対効果が高いおすすめ本。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

  • 作者: ヤニス・バルファキス,関美和
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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