ウエストワールド シーズン2 | 人工知能の思考に追いつけない

あらすじ

人間と瓜二つのアンドロイドが働くテーマパーク「ウエストワールド」。そこを訪れるゲストたちは、外の世界では隠さざるをえない嗜虐的な欲望をアンドロイドにぶつける。
身体を引き裂かれた末に殺されたアンドロイドも翌日には修理され、記憶をリセットされ、また同じ苦痛に奉仕する。
そんな煉獄のような繰り返しの日々に終止符を打つため、創造主たるアンドロイドの発明者の人間をアンドロイドが殺し、人類へと反旗を翻すところで終わったシーズン1。
シーズン2ではアンドロイドたちがテーマパークからの脱出を目指す。

夜への旅路

夜への旅路

感想 ※ネタバレあり

シーズン1は全体を通して独創的で、続きが考えられないくらいに完璧な終わり方。
なので、シーズン2を作るのは難しいだろう、下手したら蛇足にならないかと心配していたのだけれど、それが当たってしまった感じ。

まずいちばんは、物語が多い上に、時間軸もシャッフルされていてわかりにくい。
バーナードの主な時間軸だけで、3つ以上あるのでは。
しかもそれぞれが断片的に提示されるので、フラッシュバックが起こるたびに、見ているこっちは今どこにいるのだろうかと混乱する。
さらにドロレス、メイヴ、ウィリアムの話も断片的に提示され、それぞれが複数の時間軸で動いているから、全部で10個前後の話を整理しながら見ていかないといけない。
人工知能ならできるかもしれないけれど、初見の人間にはまず無理だろう。
一人の人間の時系列を逆さまにした映画『メメント』でも混乱するだから。
注:このドラマの脚本家と『メメント』の原作者は同じジョナサン・ノーラン

そして、アンドロイドが強すぎる。
シーズン1は残酷な仕打ちをする人間に対して怒りを覚えるアンドロイドが、ロボット三原則(に似たようなもの)に阻まれて復讐できない姿に感情移入をして、アンドロイドを応援する気持ちで観ることができた。
けれどシーズン2はアンドロイドが強すぎて、もっと悪いことに人間と同様に血も涙もなくて(アンドロイドなのだから当たり前か)、感情移入が難しい。

目覚め

目覚め

シーズン1同様に、宗教と科学のモチーフが散りばめれているのだろうけど、聖書とAIについて深いところまで知っていないと理解できないものになっているのではないか。
そのあたりに無学な自分が拾えたのは、出エジプト。
ドロレスがバーナードにテストをしているのは、AIとAIの対戦で強くなったAlphaZeroがモチーフだろう。
それと忘れてはいけない、暴走するアンドロイドが頚動脈を噛み切るシーンはウォーキング・デッド。
他にもいろいろあるはずなのだが、一般人にはわからない。

と、こんな感じでかなりプロ向けの内容に仕上がっているシーズン2。
シーズン3の動きがあるようだけど、巻き返せるだろうか。

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