Creative Selection | アップルの仕事の進め方

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概略

長らくつまびらかにされていなかったアップルの製品開発のプロセスをSafari、iPhone、iPadなどの開発に携わった著者が告白する。

Creative Selection  Apple 創造を生む力

Creative Selection Apple 創造を生む力

  • 作者: ケン・コシエンダ,二木夢子
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2019/03/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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感想

スマホのOSのシェアを二分するグーグルとアップル。
けれどビジネス書の世界を見てみれば、グーグルの仕事の進め方を紹介する本は数あれど、アップルの開発プロセスについて語る本は見たことがない。
iPhoneを使い、Macを使い、Apple Watchを使っている人間としては、グーグルよりもアップルの方法論を知りたいのだけれど……。 秘密主義のアップルは、その製品を生み出す方法にまでも秘密保持規約を適用しているのだろうか?

もしそんな規約があるのなら、この本はその網の目をくぐり抜けてきた最初の本である。
そしてこの本を読めば、たとえ規約がなくとも今までアップル関連のビジネス書が出てこなかったことに納得する。芸術品のようなアップル製品と対照的に、それが産み出されるプロセスは、どこまでも基本に忠実で泥臭い。

アップルのプロセスの基本は「仮説→検証」のサイクルをとにかく回すというありきたりなものである。
重要なのは仮説を検証するときに、想像を検証するのではなく、実際にモノ(この本に出てくるのはソフトウェアが中心だけど)を作り、それを目の前に置きながらレビューすること。人の想像力は、目の前にないものを良いか悪いか判断できるほど優れてはいない。
そのために、とにかく試作を作り、デモをする。デモ、デモ、デモ。
とにかく作って、反応のフィードバックを得るというのは『SPRINT』に近い(こっちは一週間でデモまで持っていくスケジュール案が詳しい)。

SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法

SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法

  • 作者: ジェイク・ナップ,ジョン・ゼラツキー,ブレイデン・コウィッツ,櫻井祐子
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/04/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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開発されたものの良し悪しの最終判断に使うのは、定量的な「A/Bテスト」ではなく、主観的な直感である。定量性にこだわっても仕方がない。製品に触れる人間自体が定量的なものではないのだから。

そうしていくうちにアップルの製品開発重要な7要素、「インスピレーション」「コラボレーション」「テクニック」「勤勉さ」「決断力」「テイスト」「共感力」が発達していく。

当時の最終判断は、スティーブ・ジョブズがやっていたとのこと。
ジョブズ亡き後の現在は、誰がどのように最終判断を下しているのだろう。 本のエピローグにはこうある。

スティーブが亡くなってから、アップルのソフトウェア開発文化は変わりはじめた。時が流れ、同僚が来ては去り、文化はさらに変わっていった。 p374

英語の原著の副題は「Inside Apple's Design Process During the Golden Age of Steve Jobs」。訳すと「スティーブ・ジョブズの黄金時代におけるアップルのデザインプロセス」といったところか。
「スティーブ・ジョブズの黄金時代」というところにノスタルジーが込められているように思うのは自分だけか。

Creative Selection  Apple 創造を生む力

Creative Selection Apple 創造を生む力

  • 作者: ケン・コシエンダ,二木夢子
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2019/03/12
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