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ハウス・オブ・カード | 皮肉な現実に追いつかれたドラマ

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あらすじ

ホワイトハウス入りを目指す下院議員のフランシス・アンダーウッド。大統領候補であるウォーカーに手を貸し、彼が大統領になったあかつきには国務長官のポストをもらう約束をしていた。しかし、ウォーカーはアンダーウッドを裏切り、別の人物を国務長官候補とする。屈辱を味わったアンダーウッドは、この後、ホワイトハウス、副大統領、さらには大統領のポストを得るべく権謀術策を駆使し、野望の階段を登っていく。

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感想

Netflixオリジナルシリーズの元祖。
当時(といっても10年も経ってないけど)ネット配信のドラマが珍しかった上に、ドラマの企画がデータ分析を使って行われたという新規性もあって、ドラマの内容に関係なく、ニュースに取り上げられていた作品。

内容も文句なく、主人公のアンダーウッドが悲哀や怒りを視聴者に直接語りかけてくる演出は新鮮だったし、政治や現実を皮肉るストーリーはおもしろかった。
人の欲を操り、出世をものにするアンダーウッドの姿はダークヒーローそのものだけれど、これだけ人の暗部をあけすけに公開されてしまっては、逆に痛快な気持ちになるものである。
けれどこのドラマに限っては、その長所がアダになってしまった感がある。

今回配信のシーズン6でこのドラマは終わりを迎える。
このドラマにトドメを刺したのは、主演であるケビン・スペイシーの一連のスキャンダルだけれど、その前から当初の勢いはなくなっていた。

勢いがなくなった原因は何なのか。
その答えは明確で、フランシス・アンダーウッドのような強権的な大統領が、現実に誕生してしまったからである。
なりふり構わず権力を振るうアンダーウッドの姿はトランプに重なる。
こんな大統領は絶対に生まれないという前提のもとで、政治を皮肉っていたドラマなのに、現実のほうがそんな前提を軽々と飛び越えて、ドラマの世界を再現してしまった。
現実はドラマより奇なり。本当に皮肉な話。
現実との微妙な距離感を保つことで成り立っていたドラマは、現実が急接近してきたことでバランスを失い、勢いを失った。

シーズン6は、主役さえも失い失速したドラマをなんとか不時着させた最終シーズン。
そこにはシーズン1や2にあったような驚きやキレがない。
あの頃の勢いが続いていれば……と残念に思わずにはいられない。
ネット配信やショービジネスにおけるデータ分析といった技術を先取りし、さらには現実をも先取りしていたパイオニアの結末は、あまりいいものではなかった。

いや、シーズン3くらいまでなら文句はないんですが……。

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