あらすじ
上下関係も、売上目標も、予算もない。
従来のアプローチの限界の限界を突破し、圧倒的な成果をあげる組織が世界中で現れている。膨大な事例研究から導かれた新たな手法の秘密とは。 (帯文より)
- 作者: フレデリック・ラルー,嘉村賢州,鈴木立哉
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: 単行本
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感想
権力をトップに集める組織は問題を抱えて病んでいき、やがて崩壊する。
ソ連をはじめとする共産主義国家がそうだったし、北朝鮮のような恐怖政治がうまくいくとは思えない。トランプの一人相撲も、そう長くは続かないはず。
そういう「権力をトップに集める組織」は私たちの身近にも、「会社」という形で存在する。 会社の方針を決めるのは一部のトップ層で、末端の社員はその方針に従うだけ。トップの意思決定が正しいかどうか、末端の社員が口を挟める余地はない。
そんな組織が長続きするとは思えない。現に、日本に限らず会社や組織の不祥事は増えていて、社会全体がきしみを上げているようにも見える。
そんなふうに、現在主流の組織形態の問題や限界が見えていて、不満を抱えているにも関わらず、 私たちは次の一歩を踏み出せない。
それはなぜか?
前例を知らないから。上意下達の組織でやってきて期間が長すぎて、他の組織形態を思い描けない。
その意味で、これからの新しい組織について、事例をあげているこの本は参考になる。新しい組織をティール組織と名付け、その違いと利点を豊富な事例とともに紹介する。
組織は小さなチームに分けられて、その中で人事や採用といったスタッフ活動から、営業や製造といった現場作業までが完結する。チームには上司や部下といったピラミッド構造はなく、AはBという仕事しかしてはならないというような専門性の壁もない。みんなが全てのことに関われるから、仕事のやりがいや目的を見失うことがない。
顧客や製品のことをわかっているのは、遠く離れた本社のトップではなく、現場の営業や作業員で構成されたチームであるわけで、そこに裁量を与えましょう、と。
言葉だけならただの理想論と片付けることもできるけれど、実例があるので無下にはできない。
そこにあるのは出世レースや売上至上主義で、疲弊した20世紀型の組織が、「自主経営」「全体性」「存在目的」という三つの軸で再生する物語。
もう人間が理解できないほど大型化して、複雑になって、目的を見失った組織なんて捨てませんか?
- 作者: フレデリック・ラルー,嘉村賢州,鈴木立哉
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