NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX | ティール組織の実態

上下関係がなく、ノルマもなく、社員が自由に意思決定と行動をすることで圧倒的な成功をおさめる組織——。
そんなティール組織が叫ばれて久しい。 発端はこの本。

自分もこの本を読んで感動した口だけれど、具体的にティール組織を作ろう、もしくは今ある組織をティールの方向に近づけようと思っても、具体的なところがわからない。
いろいろ考えた末、ある結論にいたる。
「うちでこんなことができるわけがない」

この本はそんな絶望へヒントを与える。
題材はNETFILIX。
コロナでこれ以上ない追い風を受けているといっても過言ではないけれど、コロナがなくてもその革新性は疑いようがない。動画配信サービスでオリジナル作品を作り始めたのはNETFLIXだし、その後をAmazonやAppleやディズニーなど、名だたる企業が買いかけている。
そんなNETFLIXに息づく革新の企業文化を、創業者のリード・ヘイスティングスが解説する。
NETFLIXには休暇規定がなく、社員は自由に休むことができる。
経費も上司にお伺いを立てる必要はなく、必要に応じて自由に申請できる。
組織はフラットで、相手が上司であろうとCEOであろうと、意見をしてよい。というより、相手が誰であろうと率直なフィードバックを求められる。

まさにティール組織のお手本のようなNETFLIX。
その企業文化の基盤を作り、維持するために気をつけていることは、
「優秀な人間だけを雇え」
というもの。
その職種で1番であるような人間しか雇わない。それこそ、GoogleやAmazonからヘッドハンティングされるような人材でないといけない。そのレベルのスキルを発揮できないようであれば、入社後であっても退職してもらう。それをよく表した標語がこちら。

ほかの会社と同じようにわれわれも優秀な人材の採用に努める
ほかの会社と違ってわれわれは並みの成果には十分な退職金を払う p9

この言葉はたびたび登場する。
この方針は創業初期にドットコムバブルがはじけてNETFLIXがレイオフを実行した後、会社の生産性と社員の満足度が上がった経験からきている。
冷たいようだけれど真実で、並み以下の人材に自由を与えたところで人並み以上の成果が出るわけがない。
きれいごとに終始した感のある『ティール組織』と違って、こちらはガツンと現実を突き付けてくる。

だから『ティール組織』を読んで浮かぶ「こんなことが可能だろうか?」という疑問に、この本はこう答えるだろう。
「優秀な人間だけを雇えばできる。その覚悟はあるか?」

とある会社がシステムを変更して「ティール組織」への移行を開始したという記事なりニュースなりで見かけることがあるけれど、NETFLIXがその企業文化を維持するためにここまで人材の質にこだわっているところをみると、「みんなで頑張りましょう」型の日本の企業文化のまま突き進んだら失敗しそう。

とはいえ、今後はNETFLIXのようなティール組織しか生き残れだろうし、だから個人としては彼らに選ばれるような優秀な人材であり続けなければならない。
ティール組織がもたらす自由とともに、そこで働く責任を考えさせられる。
大いなる自由には大いなる責任が伴う。