『グラスホッパー』『マリアビートル』から続く、伊坂幸太郎の「殺し屋」小説第3弾。今回は恐妻家の兜が主人公。
ハリウッドの脚本市場でいうところの「同じだけど違うものをくれ」という要望に応えるような作品。
- 作者: 伊坂幸太郎
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兜の「恐妻家」というと特性を活かした、クスッと笑えて引き込まれる台詞回しは、いつも通りに冒頭から全開。
どこか抜けているような登場人物たちのキャラもこれまでのシリーズ通り。
違うのは、後半から家族愛というテーマが前面に押し出されてくるところ。『グラスホッパー』も『マリアビートル』も「なんで人を殺しちゃいけないの?」「なんで人間だけを特別視しているの?」というのが根っこにあった印象があるけれど、今回はそこを飛び越えて「愛」に移る。
このあたりが「同じだけど違う」ところ。
伊坂幸太郎のセリフまわしと、風が吹けば桶屋が儲かる、ドミノ倒しのようなプロットを存分に味わえる。
前作、前々作を読んでいれば登場人物の懐かしさもあってベスト。
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