- 作者:荒木 博行
- 発売日: 2019/12/05
- メディア: 単行本
概要
リーマン・ブラザーズ、コダック、タカタといった有名企業25社の栄枯盛衰を集めた事例集。
なぜ一時代を築いた彼らは倒産していったのか。
5つの型に分類して解説する。
倒産の5つのタイプ
倒産の型としてあげられているのは次の5つ。
過去の亡霊型
過去の成功体験にしがみついて、時代に乗り遅れるタイプ。
よくひきあいに出されるのはデジタルカメラの時代にフィルムから脱却できなかったコダック。そのデジタルカメラも、スマホ時代に対応できていないわけですが。
脆弱シナリオ型
うまくいっているように見えて、事業環境が少しでも変化したら逆回転してしまうようなシナリオに依存しているタイプ。
有名どころはエルピーダメモリ。半導体サイクルの波を見誤り、気づいたときにはもう手遅れ。
焦りからの逸脱型
成功を得ようと焦り、身の丈に合わないリスクをとってしまうタイプ。
リーマン・ブラザーズ(とその他の投資銀行)はこのタイプ。誰もリスクをわかっていなかったサブプライムローンに手を出し、他を巻き込みながら沈んでいった。
大雑把型
単純にマネジメントが雑!
過剰出店と過剰契約のNOVAがわかりやすい。
最近話題のステーキショップもここに分類されそうな…。
このタイプだけ、異常に日本企業が多いのは気のせいだろうか?
機能不全型
現場との距離が離れて機能していないタイプ。
エアバッグのタカタが好例。エアバッグに使用する硝酸アンモニウムの品質を本社サイドは担保できると言っていながら、実際に製造している海外子会社では、そこまで徹底した管理はできていなかったという。そもそも硝酸アンモニウムの危険性を経営側が認識していたかも疑問。
まとめ
この本に紹介されている倒産事例は、バブル崩壊とリーマンショックの前後に集中している。
当たり前といえば当たり前なのだけど、結局、うまくいっているときは無理をしていてもうまくいくということなのだろう。
何かの危機が訪れた途端、無理がたたって会社が逆回転を始める。
今回のコロナショックではどんな無理が明るみにでるのだろうか。
効率化の大義名分の元に、冗長性を極限まで削ったグローバルシステム。
平時のときは良いけれど、危機にはどこまで対応できるだろうか。
東海道線だったら直通運転をやめればいいけれど(それでもそれなりのダメージはあるけれど)、今のシステムは直通運転をやめてやっていけるようなものになっているだろうか。
『世界標準の経営理論』と読み比べてみたいけど、なかなかそんな時間はとれないな。
- 作者:荒木 博行
- 発売日: 2019/12/05
- メディア: 単行本