身銭を切れ | リスクテイカーを信じる理由

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身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質

身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質

著者は『ブラック・スワン』『反脆弱性』のナシーム・ニコラス・タレブ。
いつものように皮肉交じりの辛辣な口調で、現代社会を切っていく。

今回のテーマはリスクの非対称性。
官僚やコンサルタントのようなリスク(責任)を負わない立場から口出しをする人間が増えていること、そしてその存在が社会システムにどれほど不可逆な影響を与えるかを手厳しく批判する。
リスクを負わない人間が間違いを犯しても、その人は社会システムの中に生き残る。本来働くべき、自浄作用や自然淘汰といった新陳代謝が進まず、システムの中に不適応な部分が溜まっていき、それらエラーの蓄積は「何か」をきっかけにしてシステムの崩壊を巻き起こす。

ほとんどの内容は前著の反脆弱性と重複するところがあるけれど、新しく出てきた概念に「少数決原理」がある。
システムの中に妥協しない集団が一定数いると多数決は機能不全を起こす。なぜなら彼らの意見に従わない限り、システムは何の決断もできず、右往左往するしかないから。その結果がブレグジットなのだろう。国民投票で離脱派が過半数をとったのは事実だけれど、はたして前向きな心情で離脱に投票した人はどれだけいるのだろうか。離脱でもない残留でもない宙ぶらりんの状態を嫌って「やれやれ」という気持ちで投票した人も一定数いるのでは。

「少数決原理」以外は『反脆弱性』でも語られた内容のアップデートといった様相。
著者の皮肉を楽しむぶんには良いけれど、実をとるのであれば『反脆弱性』のほうが包括的でおもしろいかな。

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