『ROBOPRO』と『ROBOPRO ファンド』を比べてみる

はじめに

システムトレードで一攫千金を夢見て敗れたのは以前の記事の通り。

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その夢が諦め切れず、いろいろと調べていたら『ROBOPRO』というサービスを見つけた。CMでよく見かけるようになったウェルスナビのようなロボットアドバイザーの一種なのだけれど、リスク許容度に応じたリバランスを収益源とするウェルスナビとは異なり、ROBOPROは様々な指標から市場の先行きを見極めて、ドラスティックに投資比率を変えていくという。

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これは自分がシステムトレードでやりたかったこと!
年利は10〜20%くらいありそうだし、シャープレシオも高い。自分でシステムを組むよりも安定して結果を残せそうである。
さらに調べたところ、『ROBOPRO』と『ROBOPROファンド』という2つがあり、どちらがいいのかわからなくなったので、考えをまとめておく。

『ROBOPRO』と『ROBOPRO ファンド』の概要

ROBOPROについて

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2020年にサービスを開始したロボットアドバイザー。
この4年間で80%以上の利益を出しているので年利にすると単純計算で20%くらい。 手数料は1.1%。
ウェルスナビとかだとNISA扱いができて税金が免除されるが、このROBOPROはそれがない。
専用のアプリが用意されていて口座情報が見やすいと感じる。保有しているものの内訳もわかる。

ROBOPRO ファンドについて

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2023年末に始まった投資信託。
「ROBOPRO」から投資助言を受けて資産運用を行うという立てつけ。あとで詳しく見るけれど、『ROBOPRO』と完全に連動しているわけではなく、そこが少々不安な点。
手数料は1.56%と本家の『ROBOPRO』よりも高い。
その代わりNISAを使うことができるので税金分有利になる。これが一番のメリット。
投資信託なので証券会社のアプリから見ることになる。内訳はわからず、基準価額だけが表示されるので『ROBOPRO』に比べると物足りない。

『ROBOPRO』と『ROBOPRO ファンド』の組入比率の比較

『ROBOPRO』も『ROBOPROファンド』も定期的に組入比率を公開しているので、それを追ってみればわかるのだけれど、名前から想像するほど『ROBOPRO ファンド』は『ROBOPRO』をコピーしていない。
一例として米国債券を見てみると、2024年2月末〜3月頭の段階では『ROBOPROファンド』は米国債券を10%程度の割合で持っているのに対し、『ROBOPRO』は45%程度の割合で保有していてかなり乖離が大きいように感じる。その他の期間でも値はバラバラ。

米国債券の組入比率の比較

この乖離の原因が流動性によるものなのか、『ROBOPRO』の助言を受けて投資判断を行う『ROBOPRO ファンド』の特性によるものなのかはわからないけれど、完全なコピーを期待しているとかなり違和感というか、不安感が出てくる。

NISAが使える『ROBOPRO ファンド』のほうが有利ではと感覚的に思っていたけれど、『ROBOPRO ファンド』が『ROBOPRO』を完全にコピーしていないとわかったら、気になってくるのはこの乖離によってその優位性がなくならないか心配になってくる。

『ROBOPRO』と『ROBOPRO ファンド』の税引後の利益

『ROBOPRO ファンド』のメリットはNISAが使えて税引控除後の利益が有利ということにあるので、それを計算してみる。

本題に入る前に手数料から。
上で書いた通り、『ROBOPRO』の手数料は1.1%、『ROBOPRO ファンド』の場合は1.56%である。預けた資産に対して取られるので、100万円を預けるのであれば、『ROBOPRO』は1.1万円、『ROBOPRO ファンド』は1.56万円が手数料として取られる。

一方で本題となる税金は利益に対して20.315%が徴収される。
同様に100万円を預けて年利10%分の利益が出たら、20.315%の税金が取られるので『ROBOPRO』の税引き後の利益は7.9万円くらい。それに対して『ROBOPRO ファンド』でNISAを使えば税金がかからず10万円が手元に残る。

以上の手数料と税金を差し引いた利益を、利益率を横軸にしてプロットするとグラフのようになる。

手数料と税金を引いた後に手元に残る利益

考えたいのは『ROBOPRO』に対して『ROBOPRO ファンド』の利益がどれくらい劣後したらNISAのメリットは消えるのだろうかということ。
例えば『ROBOPRO』が10%の利益を出した場合、税+手数料控除後では手元に残るのは6.8万円。『ROBOPRO ファンド』がこれを下回るのは8%の利益となったときの6.4万円。つまり、『ROBOPRO』に対して『ROBOPRO ファンド』が2ポイント劣った場合、NISAのメリットが消し飛ぶことになる。
20%の税金が控除されるメリットが、たった2ポイントの差でなくなると考えるとちょっと驚きだが、計算が間違いでなければそういうことである。
では実際のところ、ここまで差が出ることはあるのだろうか。

『ROBOPRO』と『ROBOPRO ファンド』のパフォーマンスの差

『ROBOPRO ファンド』がスタートから1年も経っていないので、そのパフォーマンスがどこまで信用できるかどうかはさておき、手に入る情報で検証する。
『ROBOPRO ファンド』の基準価額はスタートした2023年末から2024年9月末までの間に配当込みで15.1%の上昇となっている。
『ROBOPRO』のパフォーマンスレポートをみると同期間で『ROBOPRO』は累積和で15.2%、複利で計算すると16.2%くらいの利益である。
つまり『ROBOPRO』と『ROBOPRO ファンド』の差は1ポイントほどであり、前述の分水嶺である「2ポイント」を下回る。
さらに考えると、グラフを見ての通り利益が大きくなるほど『ROBOPRO ファンド』の『ROBOPRO』に対するメリットは広がっていくので実際のところ『ROBOPRO』の利益が15%くらいなら『ROBOPRO ファンド』の利益は12%、つまり3ポイントくらいまで劣後しないと『ROBOPRO ファンド』のメリットは消えない。
少なくとも、ここまでの間は『ROBOPRO ファンド』を選んでおけばメリットを享受できたと言える。

まとめ

『ROBOPRO』か『ROBOPRO ファンド』か迷ったら、NISA枠を使えるうちは『ROBOPRO ファンド』を選んでおけば良さそう。
NISA枠を使い切るか、よほど『ROBOPRO』のほうが成績がいいということになれば『ROBOPRO』を選べばいいはず。