オルタード・カーボン シーズン2 | 27世紀になっても変わらぬ復讐劇


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シーズン2の感想

シーズン1は難解を活かした新鮮な内容で、後半に近づくにつれ没頭していったのだけれど、シーズン2は何だかのれない。

Rotten Tomatoesのスコアもシーズン1がAudience Score 90%なのに対して、シーズン2 では40%を切る急降下。おもしろくないと思ったのは自分だけではないようす。

行き当たりばったりばったりなストーリー

舞台となるハーランズ・ワールドでは、長年続いていた反乱軍との戦争が一段落。
一方で、惑星の開拓者であるメト(お金持ち)殺しが始まり、その犯人は300年前の革命のカリスマであるクウェル。
なぜ彼女が復活し、メト殺しをしているのか。かつての恋人であるタケシ・コヴァッチは調査を始めるわけですが、そこにシーズン1の探偵物めいた精巧さはなく行き当たりばったり。

ハーランズ・ワールドのメトの住宅で目覚めると、クウェルが侵入してきたところ。かつての恋人であるコヴァッチを容赦なく刺して立ち去ったかと思いきや、数話後では身体を重ねる。
その二重性が伏線なのかギャグなのかこちらが計りかねているうちに、実はエルダー(エイリアン)に取り憑かれてメト殺しをしてましたと明かされても、驚きよりも戸惑いのほうが大きいよね。
エルダーが超人的なテクノロジーを持っていたのは知らされていたけど、精神の乗っ取りまでできるなんてありか……。

サブストーリーであるハーランズ・ワールドの創始者たちと反乱軍の関係は、実は創始者たちの自作自演でしたというのは、逆に予定調和過ぎて驚きがなく……。
やっていることも21世紀の現在と変わらない政治競争なわけで、上のエルダーの復讐劇と合わせて、27世紀だろうと異星人だろうと、考えることは変わらない。そう思うと何だかやるせない気持ちになる。

狭い世界

行き当たりばったりさに通じるところもあるけど、全体的に世界が狭い。
今回の敵はイエーガーというタケシの育ての親みたいな存在。300年経ち星々を巡った上で、そんな人物と再会・敵対するなんてどんな星の巡り合わせだよ。まあ、ここは熱くなる要素にもなりうるので良いとして……。
タケシとクウェルが敵の施設で追い込まれると、なぜかクウェル信者が敵の中に紛れ込んでいて助けてくれたり。なんでそんなに身辺調査がガバガバなの?
その他、ちょっと街を歩けば、探している人物に会えるといった状況もあり、とても世界の狭さを感じるシーズン。

変な日本語

あまり本筋とは関係なく、日本人以外は気にしてないと思うけど、作中ヤクザが登場するということで、時たま登場人物が日本語でしゃべるシーンがある。
Netflixは気を使って字幕を消してくれているんだけど、聞き取れないレベルで日本語が下手。ぜひとも字幕がほしい。
おまけに間違っているところもあり、 「部外者以外、立ち入り禁止だぞ」 とタケシが声高に宣言するシーン(第1話の27分あたり)は何度も見直すハメに。
そこは部外者ではなく関係者だと思うよ……。

ヒロインになったカリスマ

これが失速の一番大きな原因か。
シーズン1であれほどのカリスマ性を発揮していたクウェルが、シーズン2では守るべきヒロインに変貌。そのギャップにどうしてもついていけず……。
エルダーからの精神攻撃に苦しむ彼女からはかつてのカリスマ性を伺うことができない。
リーダーも人とはいえ、苦しむ姿を見せてはならず、常に超然としていなければならないんだなと、その変貌ぶりにリーダーシップの神髄を逆説的に見る。

シーズン3はどうなる?

原作は3部作。だからシーズン3までは既定路線と思っていたのだけれど、3作目のwikiのあらすじを見てみると——。

ハーラン家は200年前のタケシのコピーを使って現在のタケシを狙わせる。ハーランズ・ワールドの混乱を避けるためにエンヴォイ部隊が送り込まれ中、タケシは仲間を救い出し、ハーラン家の支配を終わらせる引き金を引く。

これって、ドラマのシーズン2で消化したエピソードでは?  シーズン2で終わらせるつもりなんだろうか。