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ナミヤ雑貨店の奇蹟 | 相談するとき答えはすでに決まっている

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あらすじ

悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、悩み相談の手紙が届く。3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが——。

ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)

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感想

映画も終わって、行き遅れた感じがあるけれど、映画の予告編を見て「良さそう」と思って買った文庫の積ん読をようやく読み終わったので感想を。

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東野圭吾を読んだのは、片手で数えるほどだけれど、こんな作風だったっけ? という印象に仕上がっているのがこの作品。若者三人が雑貨店だった民家に逃げ込むところをきっかけに、「風が吹けば桶屋が儲かる」形式で、過去の話が現在へと繋がっていく。伊坂幸太郎の作品ですと言われたほうがしっくりきそう。
伊坂好きの自分としては良いけれど、東野圭吾の推理小説好きのファンからは「ご都合主義だ」と賛否両論がありそうな内容。
なぜこんな作風を変えるようなことをしたのか考えて見ると、「悩み相談」の性質を際立たせたかったのではなかろうかと。

「長年の悩み相談を読んでいるうちにわかったことがある。多くの場合、相談者は答えを決めている。相談するのは、それが正しいってことを確認したいからだ。だから相談者の中には、回答を読んでから、もう一度手紙を寄越す者もいる。たぶん回答内容が、自分が思っていたものと違っているからだろう」 p150

小説の中にもある通り、悩み相談をする人は、その答えをすでに持っていて、ただ単に、最後のひと押しが自分の外部から欲しいだけなのだろう。
だとするならば、悩み相談自体に、果たして意味はあるのかという話になる。悩みを相談するくせに、すでに答えを持っているのなら、勝手にすればいいじゃないかと。
けれどやはり悩み相談には、ただ悩みを解決するだけではない何かがある。
人と人との繋がりを生み、巡り巡って人を助ける。
そこに推理小説みたいな明確なロジックはないけれど、少なくとも東野圭吾はそんな奇蹟のような因果関係があることを信じている。
その結果がこの「風が吹けば桶屋が儲かる」方式の物語になのではないかと。

ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)

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