NIKEがマイケル・ジョーダンとタイアップして作った伝説のスニーカー「エア・ジョーダン」の誕生を描いた映画。
ドキュメンタリーとして捉えるにはどうにも戯画的だし、フィクションとして捉えるにも振り切っているわけでもないしで、どうにも私は観る態度を決めかねた。
上場して間もないNIKEのお荷物となっていたバスケットボール部門の起爆剤とするために、ドラフト3位とはいえ当時はただのルーキーでしかなかったマイケル・ジョーダンと破格の契約を結びにいくというのがおおまかなストーリー。
バスケ部門に与えられた予算は25万ドル。普通は複数の選手にリスクを分散して契約するものだけれど、若き日のマイケル・ジョーダンに惚れ込んだソニー・ヴァッカロは全額をマイケル・ジョーダンにつぎ込もうとする。それに対して社長であるフィル・ナイトは取締役会からの批判を理由に難色を示すのだけれど、この人ってそんな人だったっけかと。
彼の自伝の『SHOE DOG』を読んだことがあるけれど、他人の目を気にしてリスクを避ける人物像に違和感があって、この物語はどこまで事実で、どこまで脚色なのだろうと。
登場人物もやけに少なくて箱庭的だし、後半でみんな急にマイケル・ジョーダンに入れ込みはじめるさまも違和感が拭えない。
かといってフィクション側に振り切るわけでもなく、マイケル・ジョーダンへの遠慮なのか、作中でマイケル・ジョーダン役の顔は全く移されない。物語の中心にいてスポットライトを当てられているのに、カメラは全くフォーカスしないという、なんともいえないむず痒さが終始漂っている。
マット・デイモンとベン・アフレックというタッグは豪華なのだけれども、2時間のハイライトを観ていたような感じ。