SHOE DOG | はじめに信念ありきと彼は言った

SHOE DOG(シュードッグ)

SHOE DOG(シュードッグ)

2018年1発目に紹介する本は、新年の幕開けにふさわしく、気分がアガってやる気にさせてくれる本で。
SHOE DOG(シュードッグ)。ナイキの創業者、フィル・ナイトの自伝本。自伝本というと、その人物だったりブランドだったりのファンじゃないと取っつきにくい感じがあるけれど、この本は事前知識がなくても十分に楽しめる。
実際、スニーカーはナイキよりもニューバランス派で、フィル・ナイトを知らなかった自分でも楽しめたわけで。

フィル・ナイトがオニツカ・タイガーを販売するきっかけとなる1962年の旅から、ナイキ(当初の名前はブルーリボン)を立ち上げ、1980年に株式上場を果たすまでがメインの内容。
その間に彼がぶつかった障害と、それをどう切り抜けたかを知ることで、本当に大切なことを学ぶことができる。
それは信念であったり、志を共にする仲間であったりと、ありきたりの要素なのだけれど、ナイキの上場までの険しい道のりの中で示されると、また違った感動を抱くはず。

例えば、銀行からの融資が不足し、資金を工面するために手っ取り早く上場を、という状況でも、彼はすぐには上場の決断をしなかった。それは上場によって、ナイキの信念が揺らぐことを恐れたから。

金があればできることがある。工場も借りられる。有能な人材も増やせる。だが上場すれば私たちの精神が変わり、しがらみができて、私たちは法人となってしまう。 p419

信念で走り続けた彼は、ともすれば「金儲け」を意味する「ビジネス」を再定義する。

単に生きるだけでなく、他人がより充実した人生を手助けするのだ。もしそうすることをビジネスと呼ぶならば、私をビジネスマンと呼んでくれて結構だ。 p500

普通の企業に足りないのは、この思想なんだろうなぁと。
時を経るごとに人は入れ替わり、創業当時の信念なんてどこへやら。信念なんか二の次で、目先のお金を手にすることに必死になって、お金の遠心力で組織は空中分解。その結果が、昨今の企業の失態の原因であるような気が。
信念を持って、納得できる仕事をみんなができたらいいのに。
とはいえ、現代社会が信念だけで回るとも思えないし、信念を持てば誰もが生活をできる社会であるとも信じきれないわけで、信念を持たずにライスワークに勤しむ人たちは必要で、その人たちの気持ちが理解できるのも事実(むしろ自分がその類)。
はやく信念だけで社会が回って、全員が飯の食える時代にならないものかと願いつつ、今年は信念を見つけ、覚悟と実力をつける年にしたいと心に決める私なのでした。

SHOE DOG(シュードッグ)

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