システムトレードを自作して勝てないと実感した話

この1年くらい株で勝てないかと試行錯誤していましたが、ようやくあきらめがついたので自戒のためのエントリー。

試したこと

流行りにのって機械学習のランク学習を試したり、LSTMを試してみたりしたのですが、もともと情報系の人間ではないこともあってうまくいかない。AIを強化学習させたら全くトレードをしないAIが生まれた(要はトレードの期待値がどう頑張ってもマイナスなので)という嗤い話を聞いたことがありますが、まさにそんな感じの結果でした。
良い感じのものができたと思ったら、良い感じにリークを起こしていて、実践ではマイナスを吐き続けるなんてこともありました。
そんなときに見つけたのが『株式投資のテクニカル分析 売買ルール集』という本。

株式投資のテクニカル分析 売買ルール集

この本に書いてあるのは26のトレードルールについて、2005年から2020年の期間でバックテストした結果。紹介されているトレードルールの半数以上がマイナスの利益率で、つまりは続ければ続けるほど損をするのだけれど、なかには15年間で利益率1700%(年利にしたら100%超!)のようなルールもあって、これをマネすれば稼げるのではないかと考えたわけです。

売買ルールの改善と自分で検証した結果

とはいえ全く同じルールにしたところで、うまくはいかないだろうという予感はあったので、いくつか改善をしました。 データの取得には『KABU+』というサービスを利用していました。こういったデータにアクセスするために利用できるサービスはこちらにまとめてあります。

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買いのトレード

まずは直近1年間のバックテストをして、全く同じルールでは利益がでないことが判明したのでいくつかルールを付け足しました。いちばん効果が大きかったのは、『ミネルヴィニの成長株投資法』あたりを参考に出来高に関係するルールを付け足したことでした。

ルールを追加するたびにトレード回数は減っていきましたが、自分の種銭は限られているわけで、ちょうど良かったです。
結果はこちら。横軸は2021年から2022年9月まで表示されていますが、実際にトレードを始めたのは2022年からなので、2022年以降は隠しています。黄土色の棒グラフが累積利益(単位:円)で左軸の数字に対応しています。緑色の折れ線はトレード1回あたりの利益(単位:円)で右の軸の数字に対応しています。
2021年は利益30万円くらい。このルールを忠実に守るには必要な資金は150万円と考えていたので、年利20%以上。なんだかいけそうな気がします。

買いのトレードのバックテスト

売りのトレード

次に、上の本では買いのトレードしか検証されていないのですが、世界が金融の引き締めに向かっている中では売りにこそ勝ち目があるのではと思ったので、売りのトレードルールも作りました。とはいっても買いのルールの逆をとっただけです。
結果がこちら。 買いと同様に年利20%オーバー。期待は高まります。

売りのトレードのバックテスト

買いと売りを合算

買いと売りのトレードを合わせてグラフにするとこうなります。
売り買いを織り交ぜた信用取引になるので手数料は多めに見込んでいるのですが、それでも見事な右肩上がり。このグラフを見た当時の私はもう勝った気でいます。

売りと買いを合わせたバックテスト

2022年の結果

では、2022年に実際にトレードをしてどうなったかというと、買いはこんな感じ。
年初に30万円くらいあった累積利益が20万円に減少しています。つまり、10万円の赤字。

2022年の買いの結果

それでも売りが頑張ってくれていれば良かったのですが、結果はこちら。
こちらも35万円くらいあった累積利益が30万円くらいまで減っていて、5万円の赤字。

2022年の売りの結果

売りと買いを合わせるとこう。
粘った時期はあるものの、年初から見ると右肩下がり。期待していたものが期待していたものなだけに、この落差は激しいものがあります。

2022年の売り買いの結果

システムトレードをあきらめた理由

株やFXで数百万、数千万飛ばしましたという話を聞いていると、十数万の赤字なんて大したことがないように思いますが、大金であることに変わりはないです。

決め手となったのは売りのトレードがうまく機能しなかったこと。
やってみて気づいたのですが、すべての銘柄に売りを仕掛けられるわけではなく、複雑な規制があり、それを上のグラフには反映できていないです。シミュレーションでエントリーしているはずのところで、実際にはエントリーできておらず、そこで取れたはずの利益を実際にはとれていないということがよくあって、実際の赤字はグラフより膨らみ、元金に対する割合でいうと15%くらいのマイナスとなっています。
これから訪れるであろう下降相場でも勝てるというところに期待してシステムトレードを考えたところもあるので、売りのトレードの再現性が悪いならやめてしまったほうがいいだろうと思ってあきらめました。

最後に

自作したシステムトレードと2022年の相場の相性が悪いだけで、続けていれば2021年のような成果を得ることができるかもしれません。しかし、2021年の成果がまぐれという可能性もあります。自分のような初心者がやった結果なので、たぶんまぐれの可能性のほうが高い。
結局のところ、どれだけルールを信じられるかなのですが、私の場合はこれ以上賭けるのは難しいと判断しました。
市況がよくなってきたときにまたチャレンジしてみたいと思います。

その後の検証結果

懲りずにその後も検証してみました。

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