2020年から4年以上続けていたリピート系のFXから先日完全撤退したのでその理由を書く。
大儲けしたわけでも大損をしたわけでもないのでおもしろみに欠けると思うが、ごく普通の一般人の体験談として残す。
リピート系FXは何かというと、以下のように色々なサービスがあるので、そちらを参考にするといい。
- トライオート
- iサイクル
- みんなのリピート注文
- トラッキングトレード
- トラリピ
などなど。
私の成績
まず、週次で記録をつけていたのでその成績を載せる。以下のグラフがそれである。恥ずかしいので縦軸は割合とした。
週次で記録をつけていたと言ったが、2023年の後半以降はリピート系FXをやめようと思って自動売買を停止、記録をつけるのもめんどくさくなって(膨れる含み損に目を逸らしたくなって)、記録をつけるのをサボっていたので不自然な平坦なグラフになっている。
グラフからは読み取れないが、最終的には1万円くらいの損で終わった。大損をしたわけではないと言ったけれど、この期間に同じ額をNISAでオールカントリーとかに入れていたらと考えたら、相対的には大きな損だと思う。
この結果だけでもやめる理由には十分だが、それは終わったことだから言えること。やめるやめないの判断は当時の状況が大事なので、以下で振り返ってみる。
簡単だと思った2020年
まずは有名どころということでUSD/JPY、EUR/USD、EUR/JPYで自動売買を設定していた。
折しも開始直後にアメリカ大統領選挙があり、開票速報で為替が上に下にと大きく振れたおかげで確定利益が大きく出たのを覚えている。2020年は2ヶ月くらいしかやっていないけれど、年利に換算したら20%以上の利益だった。
まあ、グラフを見れば、利益以上に含み損を抱えていることは一目瞭然だけど…。そもそも入れている額が小さかったので、含み損といってもたかが知れていて気にならなかった。
含み損を抱えることは想定内だったし、利益が出ていたのは確か。簡単だと思って徐々に運用資金を増やしていこうと決意した。
ビギナーズラックほど怖いものはないという事例である。
安定していた2021年
安定を目指して自動売買をする通貨を増やそうとしている。いろいろと試したが、AUD/NZD、EUR/GBP以外はすぐにやめた。資金を分散させすぎて全然決済されなかったので。AUD/NZD、EUR/GBPは国も政策も近いからレンジ内に収まりやすいだろうと考えて残した。
また、レンジの上側では売りの自動売買を、レンジの下側では買いの自動売買を設定して利益をとろうと基本的には考えていたけれど、利上げの始まったアメリカに対して日本は全然その気配がないなということで1ドル130円付近まで買いの自動売買を設定していた。結果的にはこれがこの4年間のベストトレードだった。
基本方針と異なることをしてそれがベストトレードになるなんてパラドクスだなとは思うが現実なんてそんなもの。そして例外がうまくいくと、基本方針までもがうまくいっているように勘違いしてしまうから怖い。
何かがおかしいと思い始めた2022年
いまでこそ1ドル150円が当たり前だけれど、当時は130円超えたことは驚きで、これ以上の上値を追う勇気はなかった。むしろ軽く売りのトレードをして損をした。
USD/JPYの以外の通貨で決済はあったけれど、それ以上のスピードで含み損が積み上がる。特にEUR/JPYなどのクロス円の通貨ペアとEUR/USDなどのクロスドルの通貨ペアは悲惨だった。USD/JPY以外は基本方針通りの設定にしていたのでトレンドが発生してドル一強・円一弱となった世界では含み損が積み上がるばかり。世界情勢からみてクロス円とクロスドルはレンジが当てにならないなと思って自動売買は止めたものの、ポジションはそのままにしていたので年末には含み損がピークを迎える。
それでも決済はあったので、まだいつかはもとに戻り含み損も消えると言い聞かせることができた年。
決済が止まり自動売買を止めた2023年
決済は止まり、ポジションだけが増える。そうなると証拠金維持率が減る。一晩で数十パーセント維持率が減っていることもあったのを記憶している。十分に安全は見ていたつもりだったけれど、強制決済なんて絶対避けたいので入金を繰り返していた。
けれどさすがにもうキリがないなと思ったのが2023年の秋頃。維持率が減る原因は値動きによる既存のポジションの含み損の増加よりも、新規ポジションの増加によるものだったので自動売買を止めた。
いずれ値が戻ったときに同値撤退すればいいと考え、毎週の記録をつけることさえしなくなる。いつか決済すると言っても、ポジションのほとんどはマイナススワップだったので時間は私の味方をしてくれないにも関わらず塩漬けを決め込む。
一応、記録上は自動売買を止めた直後が含み損のピークということになっているけれど、見て見ぬ振りをしていた期間とがぶっているのでもしかしたらもう少し上にピークがあったかもしれない。
1年漬けた含み損と向き合い始めた2024年
とはいえ、含み損の大きい通貨ペアを決済する勇気はなく、少しずつ折を見て決済していこうとする。
後始末を完了した2025年
いまならまだ通算でプラスマイナスゼロ近辺で脱出できると考えて決済を急いだ。
3月の頭には全てのポジションを手じまいし、リピート系FXの試みは幕を閉じた。
リピート系FXの教訓
以下に今回の教訓を述べる。
利益を生むが含み損も増える
基本的にリピート系の戦略はナンピン戦略なので含み損を抱えることが前提条件。とはいえ、頭ではわかっていても、実際に増えていく含み損を見るのは精神的に来るものがある。
いずれ値が戻ってきたときに含み損が利益にかわるといっても長期的なレンジで考えたら数年周期の値動きになる。数年間何もできず、含み損を眺め、値が戻ってくることを信じ切れる胆力が必要である。私にはそんなものはなかった。
スワップは増え続ける
FXでポジションを持っていると日々スワップが増えていく。プラススワップなら良いけれど、マイナススワップなら借金が増えていく感じ。そして高値圏では下がる方向にポジションを持ち、安値圏では上がる方向にポジションを持つレンジ戦略ではマイナススワップになるのが基本のはず。だって、金利的にプラスだから高値にいるはずで、逆にマイナスだから安値にいるはずで、そこと逆行したポジションを持つわけだから、基本的にはマイナススワップ。
このハンデをはねのけるほどレンジの中で動いてくれればいいけれど、必ずしもそうではない。自分の場合はこの4年間で1万円以上のマイナススワップがついていたポジションもあった。
収益率はよくない
うまい人は効率よく利益を出せるのだろうけど、自分の場合は2020年の年利換算25%が最高。しかもそれはお試し感覚で少ない金額で高いレバレッジをかけていたところへ、アメリカ大統領選挙なんていう特殊要因が重なって出てきた数字なので、安定的に残せる結果ではないだろう。
レバレッジをかけることで生まれるリスクを考えたらそこまで良い収益率だと思えない。レバレッジをかけなかったら、年利は大きく減るだろう。それならまだ他に良い運用先があると思う。
出口戦略はタイミングに支配される
含み損が増えて決済が止まって、やめたいなと思ってもすぐにやめられるものではない。レバレッジが効いているので、迂闊に出金すると維持率が足りなくなって強制決済ということもあり得る。
資金的にきついなと思ったときには、もうやめ時はすぎていていつか良いタイミングが来ることを祈るしかない。
あまり大きな資金を入れていると、急に大きな現金が必要なときに自由が利かない。FXは余裕資金でやりましょう。
世界は変化する
これが一番の教訓。
リピート系FXによくあるレンジ戦略は世界が不変であることを前提にしているけれど、この4年間でその前提は次々と崩れていった。
誰が1ドル150円の現状を予想できたか。1ドル160円を超えた日はSNSでリピート系FXの阿鼻叫喚がトレンドに上がっていた。自分も一歩間違えれば危なかったのだと思う。
アメリカとカナダの関税衝突もそう。トランプ大統領が就任早々にカナダへの関税を発表したことで、USD/CADのレンジは崩れた。地理的にも民族的にも近いこの2ヶ国がやり合うことを誰が予想できただろう。
世の中の変化に対応できるような資産を築くためにリピート系FXを試してみたけれど、変化に縛られた4年間でした。
その他
システムトレードに手を出した過去もありまして、そちらの話はこちらに記録しています。