転職の思考法 | 「僕は、生きていく力が欲しい」

概要

転職に必要なのは「情報」でも「スキル」でもなく、確かな「判断軸」である。一生食えて、心から納得のいく仕事を見つける考え方を、ストーリー形式で説明。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

僕の話

会社が構造改革を始めたのはここ最近の話。
まずは組織をコンパクトにということで、 希望退職者を募った。希望退職といえば聞こえはいいけれど、実質的にはリストラである。
業界自体が縮小傾向で、そういう痛みを伴う変化を、会社が必要とするもの仕方がないことなのだろうなと、希望退職者の候補に入るほど偉くもない下っ端の僕は、ある種、達観したように見ていたのだけれど、希望退職者募集の知らせを聞いたときには思っていなかった誤算があった。
優秀な人ほど辞めていったのである。
考えれば当たり前のことで、優秀な人は次のポストがすぐ見つかるから船が沈みかかっているとわかった時に脱出できる。逆に、次の船が見つからない人は、今いる船にしがみつくしかないわけである。
しかも、一度開いた傷口はなかなかふさがらず、希望退職者の募集が終わった後も、人材の流出は続いている。
それと呼応するようにして、社内政治のきな臭い雰囲気が伝わってくるし、構造改革の名のもとに組織が何度も変更され、その度に提出しなければいけない書類は増えていく一方で、仕事の本質的な部分に向き合うことが難しい状況。
そんな環境にいると、この本のサブタイトル(?)にあるようなことをテンプレ的に思う。
「このまま今の会社にいていいのか?」

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

本の内容

そんな僕の状況に似て、斜陽産業に勤めている主人公が、カリスマコンサルタントから、転職のマインドセットを伝授してもらうというのがこの本のスジ。
転職という実用ジャンルの内容でありながら、ストーリー形式にしているのは、『嫌われる勇気』を意識しているんだろうか。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

題材が題材だけに、『嫌われる勇気』よりもお話が自然でわかりやすい。語られる言葉は力強くて納得の行くものばかり。

覚えておけ。
日本の会社の悪いところは、「転職できない人間」に、その事実を40代後半まで伝えずに隠しておくことなんだよ p6

「消去法で会社に残っている人間に、いい仕事はできない」 p179

そんな強い言葉を話せるのは、著者に強い信念があるから。

私はすべての働く人が「いつでも転職できる」という交渉のカードを持てたとしたら、この国は変わると本気で信じています。 p240

流れる水は腐らない。
もっと人材が流動化すれば、適材適所に人は自然に流れ、時代にそぐわない組織は淘汰されていくと思うんだけど、転職をタブー視するようなこの社会には、そんなボトムアップの方法はまだ早いか。

まとめ

転職を意識していない人にもぜひ薦めたい。
行使するかどうかに関わらず、転職というカードを持つことで、「今の会社」という檻から自由になれるということもあるだろうし。
この本の中にある「マーケットバリュー」という考え方は転職だけじゃなく、就活にも使えそう。20代で安定した企業に入ってどうする? ここから人生は50年以上続くんだ。いまの安定が50年も続くと思うのかい?

今までの日本だったら、それでも逃げ切れたかもしれないけれど、これからはキツイだろう。
会社のブランドに寄りかからず、転職しても生きていく力が必要だ。
そのためにこの『転職の思考法』を。

「僕は、生きていく力が欲しい」 p150

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

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