ソフトバンク光からドコモ光に切り替えようとした話 | ポイント還元に惑わされてはいけない

主に本、ときどき映画、たまにネット、に関して紹介しておりますこのブログ。
今回はその「たまに」の部分。
先日、iPhone Xに機種変更したときに、ドコモ光に切り替えたほうがお得ですよとすすめられ、なすがままに契約したら見事にドツボにハマってしまったのでその体験記を。
経緯と計算内容を長々と書きますが、教訓はシンプルで、

  • お店の人がお得と言っても、きちんと計算してみると違うことがある
  • 現金・ポイント・商品券還元は魅力的だけれど判断を狂わされる
  • (ちょっと違うけど)クーリングオフって偉大!
  • ネットはインフラなので公営化したら?

という感じ。まあ、最後のはやけっぱちの内容なのだけれども。

きっかけ

きっかけはiPhone Xへの機種変更。
ドコモショップの人に「ネットは何を使っていますか?」と訊かれ、
「ソフトバンク光です」
「おいくらくらい?」
「4000円前後ですかね」
「ドコモ光にしたら、セット割がつくし、dポイントまとめられるし、お得ですよ」
「でも今、ソフトバンク光を解約すると違約金が……」
「今だと20,000円分のdポイント還元、さらには当店独自の特典として1万円分の商品券もつけちゃいます! ですので、違約金を考えてもお得かと」
という流れでの紹介。もともとSoftbank光には不信感があったし(詳しくはこちら)、ケータイがドコモなら家の回線もドコモにしたほうが安いんだろうなあという半ば決めつけもあったので、違約金以上の還元があるならお得じゃん、ということで軽い気持ちで承諾。

あれれ? おかしいぞ?

ということでドコモ光を契約する運びとなったわけですが、いざ契約の段階になってみると、こちらが想定していたソフトバンク光の違約金以外にも色々と費用がかかることが判明。
まず契約事務手数料の3,000円。
想定外だったのが工事費用の15,000円。 フレッツからソフトバンクに変えたときは工事なんてなかったので、今回もないと思っていたけれど、どうやら違うらしい。
さらに想定外だったのが平日立会いが難しかったので、土日に工事を頼むときに発生する特別料金の3,000円。
この時点で冷静に考えればソフトバンク光の解約料9,500円を含めて30,500円(税抜き!!)の出費となり、ドコモショップが提案するdポイント+ 商品券の還元の30,000円では足りないのは明白なのですが、

  • いまさらやめますと言い出せる雰囲気ではなく
  • ドコモショップが混み混みで来店後3時間ほど経過して疲れていて
  • 家に帰って早くiPhone Xをいじりたかったし

という精神的な理由から、 確認してもいないのにセット割というのがあるから基本料金は安くなるはずと思いこむことにして、さっさと契約を済ませることにしたのです。
この浅はかな判断が翌日の貴重な休日の午前中を奪うことになるとは。

冷えた頭で計算してみる

一晩たって、本当にこのままドコモ光にしていいのかという疑問が頭に登り、きちんと調べてみることに。
でも検索しても「キャッシュバックでお得!!」のような良いことしか書いてなくて、発生しうる料金を網羅的に計算したものが出てこない……
というわけで色々調べて自分で計算してみることに。この作業で午前中が潰れた。

計算結果

まずは現状のソフトバンクの料金(税込)から。

ソフトバンク光
基本料金 4,104円
Yahoo!BB 基本サービス(スタンダード) 324円
合計 4,428円

情弱な私はここで初めてYahoo!BB 基本サービスの存在を知る。色々調べて必要ないと判断して即座に解約。ということでソフトバンクを使い続けた場合の料金は至ってシンプルな基本料金のみ。

ソフトバンク光(Yahoo!抜き)
基本料金 4,104円
合計 4,104円

現状はわかった。
では、ドコモ光にするとどうなる?ということで、事務手数料も工事費も解約料(【違約金 9500円(税抜)】+【解約月の利用料金 4,104円(税込)】)も還元も、2年契約換算(単純に24で割っただけ)で月料金を計算した結果がこちら(税込)。
あくまで独自計算なので、参考までに。

ドコモ光
基本料金 4,320円
契約事務手数料 135円
工事費 810円
ソフトバンク解約違約金 600円
還元金 -1,250円
合計 4,615円

……安くなるどころか、500円高い。
セット割の-300円(親回線からみて2つ目のドコモ光なので)を考えても、損をしているではないか。
待て待てそんなはずはない。何せショップの店員さんは爽やかな笑顔で安くなると進めてくれていたのだから。
半ば自分に言い聞かせるように、安くなる道を探す。
すると、工事費用は「LAN回線方式の場合、工事費用は7,600円(税抜)となります」という記述を発見。住居はLAN回線方式なので、その金額で同じように計算してみると、

ドコモ光 (工事費7,600円の場合)
基本料金 4,320円
契約事務手数料 135円
工事費 477円
ソフトバンク解約違約金 600円
還元金 -1,250円
合計 4,282円

……うん。これならセット割込みでソフトバンクより安い、きっと何かの手違いで高い工事料金が選択されてしまったのだろう。きっとそうに違いない。
ということで、工事費用の確認をするため、ドコモ光に問い合わせてみた次第。

結果:ソフトバンクのほうが安い

問い合わせのやりとりをザックリまとめるとこう。
「工事料金の件で電話したのですが……」
「はい、お客様の料金は15,000円となっております」
「調べてみるとウチはLAN回線方式なので、7,600円が適用されるのではないかと……」
「おそらくそれは別の場合(フレッツ光からの転用?)に適用される料金でして、お客様の場合は15,000円が正しいかと……。ですが、7,600円となる可能性もないことはなく、契約書が届き次第、確認していただきたく……」
「あ、そうですか……」
相手の方の反応から、7,600円となる可能性はかなり低そうな印象だったので、ソフトバンク光とドコモ光を比較した最終結果は次のようになる。

ソフトバンク光 ドコモ光
合計 4,104円 4,615円

この時点で、ドコモ光に乗り換えるメリットは全くなくなったので、キャンセルしました。

教訓

まず、きちんと準備してから契約しようということ。特に通信関係なんて複雑すぎて、その場で納得できる結論を出せるような代物じゃない。お店の人だって、こっちの契約内容を熟知しているわけじゃない。自分の身は自分で守れ、と。
さらに問題を複雑にしているのが還元キャンペーンやオプションの存在。単純な基本料金の比較ならすぐにお得なところがわかるけれど、還元をちらつかされたら計算も面倒だし、精神的にも判断を狂わされ、ハトやサルですら目前の価値を過大評価するから長期的な判断ができなくなる。。家に帰って冷静に考えてみると、それほど得ではないとわかる。そういう意味で、クーリングオフって大事。今回の契約も「初期契約解除」ということで違約金なしだったし。

ネット関係を調べるときに毎度毎度思うのは、どうしてこんな複雑で、誰も理解できていないようなシステムが動いてしまっているんだろうということ。技術がコモディティ化して価格競争さえ成り立たなくなったから、ユーザーを煙に巻くことで会社を守ろうと考えているじゃないかと思うくらいに複雑。 東京都の下水道民営化がらみの話で、「利益がないけど、住民に必須のものを提供するのが公営事業。下水のような利益の出ないインフラを民間に投げたところで事業が立ち行かなくなるか、都民の負担が増えるだけだろう」という話があるけれど、すでにインフラと化したネットなんかは、公営化したほうがいいのではないかと、やけっぱちながら思うのです。