ラノベのタイトルみたいに長いタイトルですが、中身は無駄なくまとまっていて、巻末のビリオネア一覧や参考文献を除いたら、200ページ弱の軽量級。
身近にいないものだから神格化されがちなビリオネア起業家の実態を調査して、その生態をまとめたといった内容。
10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか
- 作者: ジョン・スヴィオクラ,ミッチ・コーエン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ビリオネアに対する誤解
ビリオネアに関する誤解として本書があげるのは、
1. 若くして成功した
2. IT長者である
3. ブルー・オーシャンの開拓者
4. 一発当てた人
5. モラルが低い
6. 一夜にして大成功をおさめた
7. 天賦の才能に恵まれている
といったもの。
調査対象のうち7割以上が30代以降に成功のきっかけをつかんだと回答し、彼らが活躍する分野はITが目立って多いわけではない。
奇抜な考えで新たな市場を創り出すだけではなく、すでに成熟した分野にデザインや価格といった差別化で挑んだ人が8割以上。
ビリオネアは一夜にして成功するわけではなく、長い間の試行錯誤を重ねた結果、成功する。だから一発屋ではなく、一度成功すれば次の事業でも成功している。大事なのは才能の結果ではなく、長い間の努力の結果であるということ。苦労した経験があるからモラルが低いということもなく、慈善事業に従事している人も多い。
ビリオネアの共通点
この本がビリオネアの共通点として上げるのは内面(マインド)である。それは未来を思い描き、自分が情熱を傾けられることを見つけ、経験と知識を積み重ねながら、機が熟すのを待つといった能力である。
詳しい内容は本を読んでもらうとして、次の文なんかは、外山滋比古さんの『思考の整理学』に通じるものがあるなあと(最近めっきり聞かなくなったけど、今でも春先になると大学の生協に山積みにされているのだろうか)。
すぐれたひらめきは一瞬の魔法ではなく、地道な積み重ねの成果である。ビリオネアがブレイクするまでの過程を見ると、それはけっして偶然でも魔法でもないことがわかる。知識を蓄え、経験を積み、ひとつのことにじっくり取り組んできた成果として、あるとき最高のひらめきが訪れるのだ。 p36
複数の人が言っていることなのだから間違いないはず。
- 作者: 外山滋比古
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/04/24
- メディア: 文庫
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まとめ
世の中にビリオネアは数多くいるけれど、彼らがどう考えて行動しているか、こういった形でまとめられているものは今までなかったと思う。
読んでみれば彼らも普通の人間で、努力の末にそうなったのだとわかる。彼らを教師にすれば、自分もビリオネアになれるかもしれない。
個人的には、「10億ドルの企業を潰した人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか」といったタイトルで続編が欲しい気も。こちらはもちろん反面教師とするために。
10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか
- 作者: ジョン・スヴィオクラ,ミッチ・コーエン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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