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物語の中には、まったく新しい世界が広がっている

ドリーム|多様性は道徳ではなく功利である

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遅ればせながらみてきました。
公開から1ヶ月以上経っているのに、映画館の小さなスクリーンは満員。さすがIMDBでもFilmarksでもYahoo!映画でも高レビューを獲得している作品。

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舞台は1961年。 当時は白人社会であり男性社会であり、黒人女性にとっては二重苦な社会である。そんな社会にあって、差別にも偏見にもめげず、アメリカ初の友人宇宙飛行を陰ながら支えた3人の黒人女性の実話に基づく物語。

差別にも偏見にも負けずに突き進んで、周囲を変えていく彼女たちの姿に感動するのはもちろんなんだけど、最近特に多い「多様性」を扱った話をみていて思うのは、多様性を大事にしましょうというのは道徳的な話にとどまるのではなく、もっと実利的な話であることを意識するべきではないかということ。
黒人だから、女性だからと見下して、彼女・彼らのアイデアを切り捨てていたら、遅々として発展しない。
マット・リドレーが『繁栄』の中で「文明の進歩の本質は、アイデアとアイデアがつがうことだ」というようなことを指摘していたけれど、全くそのとおりで、その「つがう」ことの原動力となるのが多様性なのではないかと。

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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映画の中で、IBMのコンピュータが登場して、計算係の人間が職を失いそうになるシーンが象徴するように、一律のルールに従って計算するだけなら1960年代の時点でコンピュータに可能だった。最近ではルールを見つけることさえコンピュータはできるようになった(AlphaGoの定石の発見や自動翻訳など)。 幸か不幸か、コンピュータに対して唯一残された人間のアドバンテージは、様々なことを組み合わせて新しいものを作るという行為だけである。その「様々なことを組み合わせる」ためには差別と壁に囲まれた画一的な組織や社会では効率が悪いわけで、多様性を守ることが鍵になる。

格差や差別からくる閉塞感に、コンピュータの台頭。映画の中で描かれる1960年代は、不思議なことに現代が置かれている状況と似ている。
さてこの2010年代はどうやって閉塞感を打ち破るのだろうか。

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