チェルノブイリの祈り

 

 

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

 

 

チェルノブイリ原発事故
放出された放射性物質量:14エクサベクレル
強制移住者:数十万人以上
死者数:4,000人
長期的な観点での死者数:数十万人

そんなデータからは抜け落ちてしまう、チェルノブイリを生きる1人ひとりの物語。

放射線を浴びた人がどのような症状に苦しみ、亡くなっていくのか。放射線により変わり果ててしまった人間をどのような気持ちで看とるのか。
情報統制と原発への無知がどれほど被害を拡大させたのか。
住み慣れた土地を追われることのなるとはどういうことなのか。追われた先でどれほど苦しんだか。
それらは数字だけではわからない。

この本を読んで、いろいろ考えさせられることはあったのだけれど、うまく言葉にできない。そんな感想文は感想文として失格だけれど、言葉にするのが難しい気持ちを湧き上がらせることこそ、物語の醍醐味なのではないかと。

「あの時代、1人ひとりの物語があった。今は何事もなかったかのように生きている。それが戦争で生き残ったということだ」
「私たち戦争を知る者は、あと10年もすればみんないなくなる。この話を、お前たちに伝えられてよかった」
これは映画版『永遠の0』のセリフだけれども、やっぱりデータだけでなく物語を伝えていくことが大切なのだと思うのですよ。

 

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)