『わたしの幸せな結婚』レビュー | ラブストーリーにダークファンタジーを詰め込んだ

(C)2023映画「わたしの幸せな結婚」製作委員会

前知識がほぼないまま観たのですが、のっけから津田健次郎のボイスで「異能」や「帝」、「天啓」や「奥津城」などの世界感を詰め込まれるという、『わたしの幸せな結婚』というラブラブなタイトルからは想像できないファンタジー仕様。
ちなみに津田健次郎は声だけではなく、この後に伊藤博文然とした高級官僚として出演します。最近、働き過ぎでは…。

ダークでハードなオープニングと対照的に、物語の中心はやはりラブストーリー。冷静沈着な軍人の目黒蓮と、名家で虐げられてきた今田美桜が惹かれ合っていくというシンデレラそのもののストーリー。
ダークファンタジーの中にラブストーリーを挟んだ作品は数あれど、ラブストーリーを中心にダークファンタジーを詰め込んだものは思いつかない。和洋が混ざり合った大正時代的な世界観のセットもあいまって、既視感はあるのだけれど白とも黒ともつかない不思議な感覚。

はっきりと言えるのは目黒蓮は令和を代表する美男子であるということ。

JALの機内映画のおすすめ 2023年4月

旅のお供にJALのおすすめ機内映画。
一覧はこちら。

www.jal.co.jp

ANAはこちら。

www.subtle-blog.com

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
もうずっと前から機内映画で上映されているのに、『ドクター・ストレンジ』のパロディだと思ってスルーしていた。
アカデミー賞を獲得した作品です。

www.subtle-blog.com

トップガン マーヴェリック

(C)2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
戦闘機とトム・クルーズの格好良さでゴリ押し気味の前作とは違い、ストーリーがきちんとしている。もちろん、本来の格好良さもアップデートされていて、オンタイムで観ていなかった自分は前作に正直古くささを感じていたけれど、今作を観ると当時の熱はこんな感じだったのかと理解できる。
IMAXのような迫力がある映画館で観るのがおすすめだけれど、飛行機の振動を感じながら鑑賞するのもいいかもしれない。

RRR

(C)2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.
話題のインド映画。
何だかすごいらしい。語彙を失わせるほどの迫力らしく、Filmarksのコメントを観てみてもあまり内容がわからない。観たいけれど、『バーフバリ』をみないうちにこっちに手を出すのはなんだか負けのような気がしてまだ見ていない。
これを機会に観てみるか。

ズートピア

(C)2016 Disney. All Rights Reserved.
先日、7年越しに続編の製作が発表された『ズートピア』。
まだ気が早いけれども復習に。

ある男

(C)2022「ある男」製作委員会
愛したはずの夫が実は別人だったというミステリー。
純愛映画であれば、目の前の人間を愛しているから、名前どころか外見が違っても関係ないと言うところだけれど、なかなかそうはいかないでしょう。

ANAの機内映画のおすすめ 2023年4月

旅のお供にANAのおすすめ機内映画。
一覧はこちら。


www.ana.co.jp

JALはこちら。

www.subtle-blog.com

フェイブルマンズ

(C)2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.
スピルバーグが自分自身の幼少時代にインスパイアされて作った作品。
稀代のエンターテイナーが映画に向き合う理由は何なのか。

シー・セッド その名を暴け

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
Me Too運動のきっかけになったハリウッドの名プロデューサー、ワインスタインの性的暴行の告発を描く。コロナ騒動の向こう側にあるものだから、時間の感覚がおかしくなっているけれど、2017年の出来事でしたね、これ。
世の中のハラスメント事情は改善に向かっているような気もするけれど、この騒動のおかげなのか、はたまたコロナで世界に一度リセットがかかったせいなのか、いまいち判然としない。
話に聞くだけではどんな性的暴行が行われていたかわからなくても、この映画をみればその気持ち悪さを少しでも共有できるのではなかろうか。

EMILY

世界の三大悲劇の1つ、『嵐が丘』を書いたエミリー・ブロンテの伝記映画。
肺結核で若くして亡くなった彼女の障害は悲劇かどうか。
IMDBの評価は高いのだけれど、まだ日本で公開する予定はなさそう。観るのに良い機会。

耳をすませば

(C)柊あおい/集英社 (C)2022「耳をすませば」製作委員会
アニメ『耳をすませば』のその後。
学生時代役の2人の写真をみると、アニメの2人がいかに大人びていたかわかるな。あの歳であそこまで将来のことを思いつめることはほぼない。

ある男

(C)2022「ある男」製作委員会
愛したはずの夫が実は別人だったというミステリー。
純愛映画であれば、目の前の人間を愛しているから、名前どころか外見が違っても関係ないと言うところだけれど、なかなかそうはいかないでしょう。

『シン・仮面ライダー』レビュー | シン・ユニバースはつながりのない並行宇宙?

(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会
庵野秀明による『仮面ライダー』のリブート作品。
ゴジラ、ヱヴァンゲリヲン、ウルトラマンによる「シン・シリーズ」の4作目。

『シン・ウルトラマン』がどうにも自分の中で受け入れられなかったので心配していたけれど、それほど悲惨なものではない。決して『シン・ゴジラ』よりおもしろいとは言えないけれど、昔の特撮ってこんな雰囲気だったぁ、と感じる作品。
泥臭さあり、残酷さあり。
その再現度のせいでPG-12になっているのは、昭和から時代も倫理も変わったということか。

『シン・ウルトラマン』で竹野内豊が出てきたときも驚いたけれど、今回はそれ以上に驚きのキャスティングが続々と。さらに驚くことに、同じ俳優にも関わらず、『シン・ウルトラマン』や『シン・ゴジラ』とは役名も、ともすれば雰囲気も違うこと。
マーベルだったら同じ俳優が出てくることは世界観の共有というファンサービスなのだけれど、ここまで来るとあだち充が自分の作品のキャラの顔が同じことを「劇団員としてみてください」自虐するように、逆説的にユニバースのつながりを声高に否定している気もする。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』レビュー | マルチバース・オブ・マッドネス

(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

機内映画で何度か見かけていたのですが、『ドクター・ストレンジ』のただのパロディ映画だと思って全くマークしていませんでした。ごめんなさい。
いや、おでこにおもちゃの目を貼る映画が、アカデミー賞をとる作品だとは思わないでしょ。

私がこの映画を観たのはアカデミー賞授賞式の直前の土日。
感動するかどうかは脇に置いておいて、これだけ情報過多の気が狂った映画はなかなかない。編集賞を取ったのも納得の目まぐるしいシーン展開の数々に、頭の処理が追いつかない。ストーリーが成り立っているかなんて細かいことはどうでもいい。
ただただ、目の前で展開されるカオスに殴られるための映画。
「マルチバース・オブ・マッドネス」は『ドクター・ストレンジ』ではなく、この映画にこそふさわしい。

ANAの機内映画のおすすめ 2023年3月

旅のお供にANAのおすすめ機内映画。
一覧はこちら。


www.ana.co.jp

JALはこちら。

www.subtle-blog.com

翌月はこちら。

www.subtle-blog.com

シー・セッド その名を暴け

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
Me Too運動のきっかけになったハリウッドの名プロデューサー、ワインスタインの性的暴行の告発を描く。コロナ騒動の向こう側にあるものだから、時間の感覚がおかしくなっているけれど、2017年の出来事でしたね、これ。
世の中のハラスメント事情は改善に向かっているような気もするけれど、この騒動のおかげなのか、はたまたコロナで世界に一度リセットがかかったせいなのか、いまいち判然としない。
話に聞くだけではどんな性的暴行が行われていたかわからなくても、この映画をみればその気持ち悪さを少しでも共有できるのではなかろうか。

EMILY

世界の三大悲劇の1つ、『嵐が丘』を書いたエミリー・ブロンテの伝記映画。
肺結核で若くして亡くなった彼女の障害は悲劇かどうか。
IMDBの評価は高いのだけれど、まだ日本で公開する予定はなさそう。観るのに良い機会。

耳をすませば

(C)柊あおい/集英社 (C)2022「耳をすませば」製作委員会
アニメ『耳をすませば』のその後。
学生時代役の2人の写真をみると、アニメの2人がいかに大人びていたかわかるな。あの歳であそこまで将来のことを思いつめることはほぼない。

ある男

(C)2022「ある男」製作委員会
愛したはずの夫が実は別人だったというミステリー。
純愛映画であれば、目の前の人間を愛しているから、名前どころか外見が違っても関係ないと言うところだけれど、なかなかそうはいかないでしょう。

ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー

(C)Marvel Studios 2022
ブラックパンサーの2作目。
国王であり、前作の主人公であるティ・チャラを失ったワカンダ。
なぜ主人公亡き物語で始まるのかといえば、主演のチャドウィック・ボーズマンが亡くなっているから。 現実とリンクした物語はどこへ向かうのか。

ANAの機内映画のおすすめ 2023年2月

旅のお供にANAのおすすめ機内映画。
一覧はこちら。


www.ana.co.jp

JALはこちら。

www.subtle-blog.com

翌月はこちら。

www.subtle-blog.com

ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー

(C)Marvel Studios 2022
ブラックパンサーの2作目。
国王であり、前作の主人公であるティ・チャラを失ったワカンダ。
なぜ主人公亡き物語で始まるのかといえば、主演のチャドウィック・ボーズマンが亡くなっているから。 現実とリンクした物語はどこへ向かうのか。

ブラックパンサー

(C)Marvel Studios 2017
ブラックパンサーの1作目。
チャドウィック・ボーズマンが本当にハマり役だったので亡くなってしまったことが惜しまれる。
ブラックパンサーを観たことがないのであれば、ワカンダ・フォーエバーの前にまずはこちらから。

沈黙のパレード

ガリレオシリーズの劇場版3作目。9年ぶりの劇場版。
無邪気な心で見れば楽しめるはず。

www.subtle-blog.com

PLAN 75

(C)2022「PLAN75」製作委員会 / Urban Factory / Fusee
75歳以上の高齢者に対して、自らの生死を選ばせる日本が舞台。現代版の姥捨て山でディストピアSFっぽくもあり、観てみたい。 こんな世界が実現したら、年金の繰り上げ・繰り下げ制度ってどうなるのだろうなと思ってみたり。75歳以降は自分の寿命に選択権を持てると思えば、繰り上げ受給のほうがメリットが大きいだろうか。

線は、僕を描く

(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
監督は『ちはやふる』の小泉徳宏。
水墨画というあまり見ない題材がどうやって映画になるのかと興味を持っていたけれど、映画館に足を運ぶ前に終わってしまった。

JALの機内映画のおすすめ 2023年2月

旅のお供にJALのおすすめ機内映画。
一覧はこちら。

www.jal.co.jp

ANAはこちら。

www.subtle-blog.com

翌月はこちら。

www.subtle-blog.com

トップガン マーヴェリック

(C)2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
戦闘機とトム・クルーズの格好良さでゴリ押し気味の前作とは違い、ストーリーがきちんとしている。もちろん、本来の格好良さもアップデートされていて、オンタイムで観ていなかった自分は前作に正直古くささを感じていたけれど、今作を観ると当時の熱はこんな感じだったのかと理解できる。
IMAXのような迫力がある映画館で観るのがおすすめだけれど、飛行機の振動を感じながら鑑賞するのもいいかもしれない。

ザ・バットマン

(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC
マーベルを見習ってユニバース形式を取り始めたベン・アフレック版のバットマンとは違い、独立したものという扱いのようなので単独で観ても問題なし。
IMAXで観ても画面が暗かったので、飛行機のディスプレイで見るとどうなってしまうのか、心配なところではある。

RRR

(C)2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.
話題のインド映画。
何だかすごいらしい。語彙を失わせるほどの迫力らしく、Filmarksのコメントを観てみてもあまり内容がわからない。観たいけれど、『バーフバリ』をみないうちにこっちに手を出すのはなんだか負けのような気がしてまだ見ていない。
これを機会に観てみるか。

沈黙のパレード

ガリレオシリーズの劇場版3作目。9年ぶりの劇場版。
無邪気な心で見れば楽しめるはず。

www.subtle-blog.com

線は、僕を描く

(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
監督は『ちはやふる』の小泉徳宏。
水墨画というあまり見ない題材がどうやって映画になるのかと興味を持っていたけれど、映画館に足を運ぶ前に終わってしまった。

映画『罪の声』レビュー | こんなにまとまりのいい話だったっけ?

昭和の未解決事件「グリコ・森永事件」を下敷きにしたフィクション。下敷きとは言っても、なぜわざわざ「ギン萬事件」という架空の事件に仮託したのかというレベルで「グリコ・森永事件」をトレースしていて、昭和の劇場型犯罪に対する推理といった様相。

5年くらい前に原作は読んでいて、大筋はわかっているはずだったのだけれど、映画を観てこんなにまとまりのいい話だったかと驚いた。

犯行に「声」を利用された子どもたちの葛藤に、ここまで焦点の当たる作品だったっけ? いや『罪の声』という題名からして、子どもたちの「声」が中心にあるのは原作から変わらないのだろうけれど…。
当時の私の感受性が低かったのか、身代金を手に入れられなかった犯人グループに何の得があったのかというところに気を取られすぎていたのか。
映画化にあたって構成をかなり変更したようだし、映画の作り手の妙だと思うことにしよう。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』 レビュー | 映像はきれいだけれども

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

感想

あの『アバター』の続編。
圧倒的な映像美はさることながら、観客を青い肌のクリーチャーに感情移入させるというダイバーシティのお手本のような第1作。それが2009年の映画なのだから、ジェームス・キャメロンの手腕と洞察、恐るべし。
それから10年以上が経ち、3D映画は一般的になり、多様性が声高に叫ばれる中で送り出された続編『ウェイ・オブ・ウォーター』。
前作は映画館で見たきりになっていたので、事前に見直していったのだけれどよかったね。前作とのつながりはもちろん覚悟していたけれど、まさか悪役まで前作と同じとは思わなんだ。

前作は森が舞台だったけれども、今回は海が舞台。ほぼすべてCGだろうに違和感を感じない。いや、あまりに映像がきれいすぎて、水が透明過ぎるだろ、とか、海の生物の人口密度が高すぎない?とか、つまらないツッコミは思い浮かんだりするんですけれども。
水しぶきや火の粉のパーティクルもきれいで、10年前から流体のシミュレーション技術は格段に上がったのだなと実感する。

とはいえ、前作もそうだけれど、ストーリーはある程度予測がつくものであまり驚きはなく、ジェームズ・キャメロンの作り込まれた3Dの映像美に終始圧倒された徒労感が強い。まあ、これだけ一辺倒のストーリーでこれだけの疲労感なのだから、複雑なプロットにされたら私の頭が持たないかもしれませんが……。

いちばんの驚いたのは、主人公の娘(養子)であるキリ。
これだけ魅力的な表情や演技ができる子役すごいなと思って鑑賞後に調べたら、なんと演じているのは前作でグレース博士を演じているシガニー・ウィーバー(73歳)というではありませんか。あまりに衝撃的過ぎて、Wikipediaのリンク先が間違っているのかと思ってしまったよ。

キリの父親は誰なのか

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
アバターシリーズはあと3作(合計で5作)作る予定だということで、本作で解き明かされなかった謎がちらほら。
そのなかでもいちばんの謎は前作で亡くなったグレース博士のアバターがいつの間にか妊娠していて、そこから生まれたキリの父親は誰なのかというもの。
聖書の処女受胎をモチーフにしているのなら、父親はいないという答えもあり得る。スピリチュアルな考え方を持っているナヴィの中でさえ特異と思われるような、植物や動物を自分の意思にそって動かす能力をキリは持っている。処女受胎でさらに神話的な意味を付加できるのでそれもアリな気がする。

SF的にはグレース博士のアバターのクローンというのもアリなのかな。精神が空っぽのアバターから生み出されるクローンが意思をもっているって何だか不思議な気もするけれど。
これなら、アバターとはいえ少女のキャラクターに前作で登場した70歳の女優を起用したということに意味が出てくる。そして私の驚きもムダではない気がする。

最後に

映像は文句なしできれい。
だけれどもきれい過ぎるせいなのか、3Dのせいなのか、はたまた3時間を超えるという作品の長さのせいか、見ていてすごい疲れたのも事実。
残り3作を映画館で観る体力があるのか、自信がない。
家でソファに寝っ転がりながら、適度に休憩を挟んで、ゆっくり観るのも手かもしれない。