マネーの進化史 | お金の歴史からビットコインの行く末に思いを馳せる

ついにビットコインが100万円を超えました。その後、130万円を叩き、ナスダックで扱われるようになる様子。サトシナカモトという謎の人物の思いつきから生まれたこのコインも、ここまできたら無視はできない。 一方で、投機だ、バブルだという批判があるのも事実。
ただその批判の声を聞いていてふと思うのです。 そもそもお金ってなんだっけ?

マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

この本の良いところは、教科書だと飛ばすような論理もしっかりと説明してあるところ。
小学校の授業なんかだと、物々交換だと非効率だから貨幣が発明されました、貨幣にはキラキラピカピカでみんなが欲しがる金や銀や銅が使われました、みたいな説明をされた覚えがあって、キラキラピカピカがあまり好きではない自分は腑に落ちなかった覚えがある。
本では貨幣の材質に金や銀が使われた理由を「信用」の側面から説明していて、錆びもせず風化もしないから価値が恒久的に不変で、「信用」を示すのに理想的な材質であったから採用されたとのこと。キラキラピカピカよりも納得のいく説明で、長年の疑問が腑に落ちた。貨幣とは「信用」を表すものだから、ドルが兌換紙幣の役目を終えることも可能だったわけである。

で、この「信用」の観点からビットコインの躍進について考えてみる。
確かに、現実の物品に紐づけられていない仮想通貨がここまでの高値をつけていることに気持ち悪さはあってバブルと言いたくなる気持ちはわかる。けれど、ビットコインが「信用」を表すのに適した「材質」かということを考えてみると、それほど不思議じゃない。
まず、仮想通貨はビットのものなのだから、金と同じように錆びもせず、風化もしない(全世界的にサーバーが壊れれば話は別)。さらに、ブロックチェーンという金や現実の貨幣にはない機能によって、ビットコインには過去の履歴が永遠と付け足されていく。信用とか情報価値という点では、貨幣よりビットコインの方がメリットがありそうな気がする。

その他、お金や金融、経済にまつわるエピソードがこの本では紹介されている。
「市場はランダムに動く」という前提のもと打ち立てられた株価予測方程式が市場に浸透するにつれ、市場のランダム性という前提がなくなって方程式が働かなくなった話というのが、イソップ童話じみていて個人的にお気に入り。

マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)